片道書簡
行きの道ばかり考えて来た
あなたが帰る時を知らないまま
白い手紙に色を混ぜる朝
私の気持ちが青空になる
会えないのに手を振って
目を合わせたような光は
先のことなんて照らさなかった
あなたが笑う姿を見ないから
黒い絵文字を書いた後で
心配するのはどっちなんだろう
いつもの自分とは違うことに
気付いて貰えるのかな
言いたいことが無くなっても
あなたの好きなものが分かるなら
細い心をスポイトですくって
封筒に貼って送るんだ
滲まないで届いて欲しいな
忘れないで読んで欲しいな
春の夜だけが惑わせてくれる
私を柔らかい絨毯にして
あなたの髪の毛を解かせますか
桜みたいに流れていく前に
これが最後の手紙と言ったら
もう待たなくても良いんですよ
片道書簡