久遠の蛍

細雪(ささめゆき)がそらに舞つてゐます

かなしいほどにきれいです

瓶の(うち)にとじこめられてゐた蛍らが

一斉にそとへ解き放たれるが如く...

はねがみえるぢゃないですか

背中にのせた銀色の...

なんとうれしさうなのでせうか

けふはかれらのうたげです

かれらは人肌にあたれば

たちまち死んでしまうやうに思はれますが

われらが細胞の裡でいきつづけてゐることでせう

それはそらとわれらとをつなぐ

祈りを孕んだ(くさび)です

細雪がそらに舞つてゐます

かなしいほどにきれいです

久遠の蛍

久遠の蛍

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-01-18

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