花野 尋

畳の上がよく似合う。
と妹に思ってしまう、自分。
じいちゃんの仏壇とその前の座布団
ちゃぶ台の上にある、灰色の湯呑み、じいちゃんが使ってた。今は、妹の

話すことなんてないけど。
ってわけじゃないけど。なんとなくキッチンの流しの蛇口をひねって、うがいをした。

「えらいじゃん」

って言われて、飲み込みそうになったけど、むせながらなんとか吐きだした。

妹はそこでなにをしてるんだろう

居間の開いた窓の、中途半端にひらけたカーテンの内側の薄い白いのがゆれて
遠くをみている
僕の妹。


「今日、お母さん遅くなるって」

遠くを見ながら、声だけをこっちに。
制服のスカートが捲れ上がらないようにピシッとして、足を伸ばしている。箪笥にもたれて

わかった。
って気のない返事を僕がしたら、会話はそこで終わった
学校から帰ってきたばっかだから、普通に自分の部屋に行けばいいんだけど、なんか、なんとなく。

キッチンはまぶしくて。それ以外はモノクロ
のような、明暗がはっきりと、妹のいる居間の方へ、陰っている。


なにしてるのか気になって、ただ、このまま見てたら嫌がられるだろうなって思って
部屋に行こうとした時
した時、なんか妹の、いつもと違う雰囲気なのか、ただの僕の勘なのか、ふるふると震えてはなかったと思うけど、涙をひとすじだけ頬にこぼして、泣いてた。

カーテンの白いのがゆれて、モノクロ
静かで、陰っている

どうした、なんかあったか?
って言うような仲ではないから、そっと
部屋に戻った

妹が泣いていた。
畳の上がよく似合う、
僕の妹

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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