雨のコンパス

雨のコンパスで描いた唄が
手の甲に乗せた鎖のように
水溜りをそっと増やしていく
半径をどのくらいに広げても
踵に当たるメロディが好きだから
優しい言葉でなぞる世界に
いつの間に追いつけたのかな

雨のコンパスで回した傘を
唄の感情で曲げるられるほど
誰かに向けて渡したくなるよ
本当は濡れても良い人なんて
ひとりもいないという綺麗事さえ
鍵を握る前に受け止って欲しい
夢を抱く前に駆け抜けて欲しい

雨のコンパスで閉じた瞼が
誰かの化粧を落とす唄になる
それは素顔に戻るための時間
それは自分を抱くための毛布
雫がワイパーみたいに揺さぶる
心がまだ眠りたくないと言って
私は終わりの言葉を綴らない

雨のコンパス

雨のコンパス

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-01-18

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