願ひ

志賀の浦や遠ざかりゆく波間より
ㅤㅤ氷りて出づる有明の月
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ藤原家隆

もしも湖面が氷りついたら、
ㅤㅤ僕達二人、歩きませう。

眠る魚の鱗に沿つて、
ㅤㅤ流れる星が滑るでせう。

星屑の散る波紋の上を、
ㅤㅤ僕達二人、歩きませう。

僕等が渡る大星原に、
ㅤㅤ一角獣が遊ぶでせう。

おおいぬ子犬の星座に乗つて、
ㅤㅤオリオンに手を振りませう。

夜が明けたら約束通り、
ㅤㅤ月と一緒にみづうみの、
ㅤㅤㅤㅤ底に沈んで死にませう。

願ひ

願ひ

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-01-18

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