ミサイルだもの

鈴原カヲル

戦争になった。
 唐突ではあるがそうゆうことになったのだ。
 いや正しくは一方的な攻撃を受けるというべきか、とある国家が僕たちの住む国へミサイルを撃つだろうという話である。ここでは仮にX国と呼ぼう。
 ミサイルが来るとして、もし僕に残された時間が後わずかだとしたら、僕は今何をしたいだろう?
 僕は机の引き出しから、『ゴータマ』のコンサートの宣伝が載っていた雑誌の切抜きを取り出した。
 『ゴータマ』のコンサートに行ってみるか。
 え? ゴータマが誰かだって? おいおいそれじゃ話にならないぞ。
 『珠城 豪』(たまき ごう) 渋い中年のロックミュージシャンだ。
 彼は多少筋肉を付けてはいるがやせ型、一見チンピラ風、明らかに日焼けサロンによる色黒、金のネックレスにサングラス、激しい気性によるコンサートでのハプニングは毎度のこと、そして、暑苦しいほどの歌詞を魂の搾り汁を振りまきながらダミ声で歌い上げる、ロックンロールの神様。それが愛称「ゴータマ」だ。
 僕は熱狂的なファンというわけでもなかったが、ただ一度くらい破天荒で豪放な男の生き様を見せつける彼の歌声を聴かずに生涯を終えるのも何かさみしいような気がしたのだ。
 僕は休暇を取って、ゴータマの野外コンサートへ出掛けることにしたのだ。

(1)
 上司である課長に僕が3日間の休暇の申請書を提出すると、彼は虚ろな眼差しで僕の申請書にしばし目を落していたが、すぐに薄ら笑いを浮かべながら何のお咎めもなく承認のハンコを押してくれた。いつもなら1日間の休暇でさえもねちねち拒む課長が、である。
 僕は会社のドアを出るとき、それはかなり笑える仕儀だと思った。何でかって? だって明日にも会社そのものが存在しないのかもしれないのに、『休暇』だなんて、笑えるだろう? そういえば、いきり立った奴は『退職願』を上司に叩きつけていた。『退職願』だなんて。そりゃ二流だよ。もはやこんな場面でいきり立ってどうするの。まあ本気で逃避を考える奴は無言で逃げるだろうし。でも逃げるったって、どこへ?

 かくして僕は休暇初日の夕刻に東京八重洲口バスターミナルから富士見市野外コンサート会場行きの特設バスに乗る。コンサートとは『ゴータマ富士山ロックフェス』。開演は夜の11時。そして、明け方まで続くゴータマ搾り汁百%のオールナイトの公演である。
 バスが走っている間、僕はぼんやりと流れる夜景を眺めていたが、おもむろにスマートホンを取り出してX国についてのネット上の書き込みを調べる。X国が明日明後日にもミサイルを僕たちの国へ撃ち込むという話題で持ちきりだ。書込み上での話しだが、どうやらX国は自国において国営の失敗や産業の破綻や国民の飢餓に際し、他国に戦争をふっ掛けることでうやむやにして解消しようとゆうことらしい。事実であるなら迷惑な話だ。
 政府は『情報が明らかになるまで』、『市民の皆様は冷静に』だそうだ。いたって何もしない。市民の皆様は冷静にだって? 冷静だとも。
 日常バイアスのかかった僕らは顔面を強張(こわば)らせながらも日常を継続しようと努力する。会社に行って、コンビニに寄って。「何も起こりはしない」のだと自分自身に言い聞かせる。それこそミサイルが明日落ちようとも。
 しかも、そんな情報の真偽は実際にことが起こるまで判明しないのだからなお始末に負えない。
 そうもしているとバスは富士見市野外コンサート会場へ到着した。そこには既におびただしい数の人々であふれていた。観客数は5万人ほどだと小耳に入る。芝生の敷かれた野外会場ではすべて立ち見自由席のためか、人々は出店やトイレに向かうため好き勝手に立ち歩いている。すでに宵闇のなか、ライトアップされたステージの背後に荘厳な富士山の影絵が見える。公演の終盤近くには富士山の裾野から朝日が登るという趣向である。それはさぞかし絶景であろう。
 ビールを呑みながらだらだらと過ごしている人々。しかし夜11時の開演になると会場の様子は一変する。一斉に沸き上がる歓声。まばゆいスポットライト。地響きのような重低音のパッカーション。雷鳴のようなギターの演奏。
 そしてゴータマが首に巻いたタオルを観客に投げ付けて現れる。
 ジーンズ製のタンクトップ、迷彩のカーゴパンツ(いわゆるだぼだぼのとび職ズボン)、明らかに日焼けサロンによる色黒、金のネックレス、我らがゴータマだ。
 ゴータマの雄叫びのような歌声。荒れ狂うドラム。心躍るバックミュージック。ゴータマが乱舞する。ゴータマがシャウトする。ゴータマが翔ぶ。そんな彼の姿がステージ上の巨大なバックスクリーンに映し出される。熱狂する観客。踊り狂うage嬢。ねえ馬鹿だと思うかい? いいのさ。この世に顕現した夢幻なのだから。
 
(2)
 さて公演も進み、宴もたけなわというか午前4時頃、観客にも疲れの色が見え始める。
 すると休憩前の一曲が終った後、マイク片手にゴータマはおっしゃられた。
 「何んだお前ら? 死んだ眼をしやがって。それでも生きてンのか?」と。
 ゴータマのヤブにらみの眼が座っておられる、というよりも異世界に行ってらっしゃる。彼は不思議なほどの迫力で僕ら観客を見渡し、そこで一言。
 「隣りの奴を殴れ」と。
 え?って思うよね。殴れ? 誰を?
 さっきまで手を振り上げていた観客はその手を降し始める。
 「このボンクラども!
 お前ら自分自身が何もしねえくせに、他人のことばかり気にしてぐだぐだとクダまきやがって。
 毎日だらだら過ごしてるくせに、母ちゃんに向かってたらたら不平や文句ばかりたれやがって。
 寝言は寝て云えってんだ! そして眼を覚ましやがれ!」
 僕らはしんと静まりゴータマを見据える。
 「隣りの奴を殴れっつってんだよ! 殴るってのはよ、こういうことだあ!」
 ゴータマはエレキギターを片手に観客のなかに飛び込んだ。凄い演出である。いやよく見ると演出ではなかった。
 殴っている。マジで殴っている。ゴータマが観客を殴っているよ。
 やがて殴り合いの波は観客5万人の会場全域に広がった。僕はあっけにとられて眺めていたが、突然近くにいた太った眼鏡のおじさんに殴られる。痛みと供に僕の脳天から全身にかけて目の覚めるような刺激が走る。脳内がしびれる。デビルマン風に云うなら「理性のたがが吹っ飛んだ」ってやつだ。気づけば僕も殴り返していた。野外会場は一面大乱闘となった。
 でも不思議と爽快感がある。こうやって殴り合うのが意外にも快感だ。
 痛みが気持ちいい。痛みというのは生きている実感でもあるのだと思った。
 喧嘩じゃない。手加減を間違えても、その拳(こぶし)に殺意はない。
 殺すためじゃない。生かすためのにぎり拳。死ぬためじゃない。生きるために生まれた命。
 明日死ぬかもしれないときに、やがてミサイルが降ってくるであろう夜空の下で、僕たちは狂喜して殴り合っているのだ。
 乱闘のさなか、ぽてりとパンチが当たるので見ると、いい感じのスキンヘッドのおじいちゃんが殴ってくる。これはいけない気を付けなきゃと思っているところへすぐ隣りからまた別のおじいちゃんが出現してスキンヘッドのおじいちゃんにスパーンといいブローを放つ。
 これは止めなければと思った矢先、ふいに背の高いお姉さんが眼前に現れる。ジーンズのパンツに迷彩のタンクトップの姿。背まであるウエーブした明るい色彩の茶髪を後頭で留めている。
 彼女はけっこう整った顔でファンキーな笑顔を見せて、胸も、けっこうよく育っておられて、そして、筋肉もけっこうよく育っておられて、と思うや、彼女のモノ凄い左フックが僕の顔面を捕らえた。
 あにょおーん! と、僕の顔は目玉の飛び出るくらいひしゃげて、僕は昏倒する。お前はヴァンダレイ・シウバか?! 加減しろ馬鹿! ブラックアウトの快感に埋もれながら僕は芝生上でペッタン人形のようにへたばる。そんな風体で僕のファイトはひとまず終った。

(3)
 会場ではスタッフが放送で乱闘の制止を呼びかけ続けていた。
 数分の間気を失っていた僕は覚醒する。するとゴータマが担架に運ばれたというアナウンスが流れて、間もなく騒乱は自然と収まっていった。血まみれになったゴータマが担架で運ばれる姿がバックスクリーンに映し出される。彼の手にするエレキギターはめちゃくちゃに破壊され、ほとんどネックだけになっており、弦のワイヤーがぴよよーんと渦巻いていた。観客は唖然としてその映像を眺め、ゴータマが運び出されるのを見送る。
 ゴータマの緊急治療で30分の休憩ということだそうだが、プログラムの冊子を見ると休憩時刻は予定通りである。さすがはゴータマ。僕が素直に関心しているところへ、人影。それは先ほど僕をノックアウトした筋肉姉さんだった。彼女の両手にビールのカップ。
 「アナタダイジョウブカ?」
 あ、外人さんか。
 「サッキハゴメンネ。ハイ。コレオワビダヨ」ビールを差し出す。
 え? これを僕に? ええ娘じゃあ(落涙)。
 「サンキュー、サンキュー」と云って僕はそれを受取る。
 Oh yes、彼女はまるでエマ・ワトソンだよ。え? 知らない? まじかよ! 『ハリポタ』の『ハーマイオニー』でしょうが。知らないの? まじかよぉぉ! 
 それからしばらく僕は彼女と話をした。何でも僕と同じ崎山町に住んでるとのこと。
会社勤めと云うので聞くと外人パブだとか。健全な店らしい、今度行ってみるか。ちなみに以前の職業は「在日米軍ネ♡」だそうだ。ちょっと逞しいのが素敵♡
 今度店に行くので電話番号プリーズって云うと、彼女はにこやかに「OK」の一言で僕のスマホにナンバー送信。僕は勝利したボクサーのようにガッツポーズで空を仰いだ。
 そこへ、再びステージから体の芯に響くような演奏が流れ込んでくる。
 ステージの仕掛けでせり上がってくるゴータマは包帯だらけだった。血のにじんだ包帯で片目を覆うようにして顔面を巻かれたゴータマは迫力ある眼差(まなざ)しで僕らを見おろし、両手を挙げながら現れる。すごいよ、綾波だよ、綾波レイだよゴータマ。
 新たなエレキギターをガッとひっつかむと、それを激しく弾き鳴らす。
 ゴータマ復活だ。
 ひとしきり演奏が続き、一曲が謡い終ると盛り上がりのきわにゴータマが叫んだ。
 「皆の気合いで太陽をあげるぞぉ!!」
   ウオォォ ー !!! と観客
 ドラムセットの打ち鳴らすリズム、バックミュージックに合わせて、
僕らは「テイッ! テイッ! 」と声をあげる。
 それはゴータマのコンサートにはかかせない定番の観客の掛け声。それは気合いであり、共演である。
   テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
   テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 な?! 
 薄暗がりの東の空に日差しの赤紫色がにじんでゆく。
 た! た、た、た、太陽が上がってゆく!! 僕は眼を見開く。
 ステージの背後、赤熱する鉄塊のような球体が富士山を赤く染めながら現れる。
 酔いと、眠気と、殴り合いの痛手で、脳内がぽわぽわしているのだけれど、はっきり分かる。
 今、僕たちは自らの能力(フォース)で『太陽を上げている』のだと。
 最高だぜゴータマ!
 しかし、幸せのひとときは誰かの叫び声でつかの間に終った。

 「ミサイルだ!」

 動揺が会場に拡がる、方々で人々が振り返り背後の西の空を見上げる。
 僕も手を止めて振り返る。まだ深い藍色の空向こうに光り輝く火炎が視える。
 観衆がどよめく。いつのまにやらバックミュージシャンの手も止まっている。
 彼らが目にするその火炎が流星ではないことは誰の目にもはっきりと分かる。誰もがステージを背に西の空を見上げている。
 僕はふいに隣りの筋肉姉さんを見る。彼女は両手を胸に組んで祈るように空を見上げていた。彼女の背から朝日が射して、色素の薄い髪を透かしている。何となく天使みたいだと思った。
 気づくと僕は彼女の手を取っていた。彼女は最初驚いたようにこちらを振り向くと、僕の手をきゅっと握りかえし、ふわりと柔らかい笑顔をみせた。その時、
 ゴータマが叫んだ。
 「どっちを視ているんだ! こっちを視ろ!」
 ザっと5万人が東側のステージに向く。
 「手を止めるんじゃねえ! 太陽が上がらないだろうが!」
 それでも観客はおぼつかない様子で、東と西を交互に首を向けてうろうろする者、頭をかかえてうずくまる者、呆然と空を見上げる者、とっさに逆立ちする男、いきなり熱く抱擁し合うカップル、オペラグラスを取り出し空を視るマダム、頭部のカツラをひっつかんで地面に叩きつけるおっさん、皆不安でおろおろしている。
 「だからこっちを視ろ!」
 ザっと5万人が東側のステージに向く。
 ゴータマは自身の頭部に巻かれた包帯をくるくると解きほどく。
 「気合いをいれるぞ! テイッ! テイッ!」
 ゴータマは一人掛け声を始める。傍観する観客。
 恐怖ですよ、ゴータマ。東の空には太陽が上がってゆくけど、西の空にはミサイルが来ているのですよ。
 それでもテイッ ティッ、とステージ上で気合いを入れ続けるゴータマ。
 その姿は「お前はなんてつまらない奴になっちまったんだ」と僕に云い放っているように思えた。
 気づくと僕は両手を上げていた。そして声をあげた。
 ゴータマに合わせて両腕をリズムよく上げながら、掛け声を合わせた。
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
声を上げていると何かがふっ切れてゆくような気がする。不安が小さくなってゆく。
 やがて僕の周辺で一人、もう一人と掛け声を上げてゆく。
 ドラマーがはっと気づいたように演奏を始めパッカーションを打ち鳴らす。
 ギターやベースも楽器を取り上げ演奏を始める。
 他の観客も始め戸惑いをみせながら何かに引きずり込まれてゆくように、ゴータマに付いてゆく。
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 ゴータマが叫んだ。
 「よぉぉし、皆の気合いでミサイルを停めるぞぉぉ!!」
   ウオォォ ー !!!
 「回れぇぇ右ぃぃぃ!」
 ザっと5万人が西の空に向く。
 火炎すなわちミサイルは既にかなりの距離まで近づいている。今にもこの会場に直撃しそうだ。
 でも、僕らは『太陽を上げられた』のだから当然『ミサイルを停める』こともできるはず。
 ドラムセットの打ち鳴らすリズム、バックミュージックに合わせて僕らは声をあげる。
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 僕はぎゅっと目をつむる。航空機の飛翔音にも似たミサイルの轟音が大きくなってゆく。
 それでも僕らは掛け声を止めない。
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!

 「やめぇぇい!」ゴータマがダミ声を発する。
 掛け声が止まる。音楽が止む。静寂が訪れる。
 静まる人々のなか僕は恐る恐る眼を開ける。
 え? ミサイルが
 明け方の青い空に遠く、宙に浮かぶようにして空中で停止したミサイルが陽光を反射している。その機体から煤煙を吹かしている。
 ミ、ミ、ミ、ミサイルが停まっている。停まっているよゴータマ。
 呆然とする会場。
 でも、もしかしたらミサイルは既に落ちていて、僕らはとっくにあの世にいるというオチなのでは。そんなよくある結末。そんな考えが一瞬僕の頭をよぎる。しかし、
 痛い……。ほっぺたが痛いのだ。先ほどの殴り合いで受けた痛みが僕の頬にまだじんと残っている。
 この痛みは僕がこの世に確実にいることを証明している。
 「よぉぉし、こっちを向けぇ!」
 ザっと5万人が東側のステージに向く。
 ゴータマの背後のバックスクリーンに空中で停止するミサイルの姿が望遠カメラにより拡大され映し出されている。
 「皆の気合いでミサイルを撃ち返すぞぉぉ!!」
   ウオォォ ー !!!
 ドラムセットの打ち鳴らすリズム、バックミュージックに合わせて僕らは声をあげる。
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 な?!
 スクリーン上のミサイルがぶるぶる振動しながらゆっくり回転してゆく、それは眼に見ることのできない巨大な力が働いているように。ミサイルはいろいろな方向に火炎や黒煙を吹き上げる、その轟音が空に鳴り渡る。
 ゴシュシュ ゴシュシュ ブシュシュ ブリブリブリ ブシュシュシュシュ
 ブシュシュシュ ブシュ ブシュ ブシュシュシュシュ ついには、
 ミサイルは完全に反転した。ゴータマのダミ声!
 「発射ぁぁ!!」
    ウオォォ ー !!!
 画面のなかのミサイルが白閃光を噴出する。
 僕は背中にかすかな熱風を感じる。
 激しい演奏のなかで僕は西の空に振り返る。ミサイルは閃光を放ち白煙を細長い雲のようにして空に描きながら遥か天空の彼方に向かって飛んでゆく。咄嗟に筋肉姉さんが僕に抱きついてキスをした。
 その日、僕たちの国に向けて撃ち込まれたミサイルのすべてが撃ち返されたという。
 「よぉぉし、ラストソングまで突っ走るぜぇぇ!!」
    ウオォォ ー !!!
 「そして、夜はまだまだまだまだ続くぜ! 今度は太陽を沈めるぞぉぉ!!」
    ウオォォ ー !!!
 ドラムセットの打ち鳴らすリズム、バックミュージックに合わせて僕らは声をあげる。
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 気づくと僕は筋肉姉さんと肩を組んでいた。
    ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ、ガガガガガガァァン 地響き
 地震のように1回大地が揺れて僕たちはよろめく。
 な?!
 朝焼けの空で太陽がくらくら揺れながら沈んでゆく。
 た! た、た、た、太陽が沈んでゆく!! 僕は眼を見開く。
 でも、もう驚かないよ、ゴータマ。
 さっき、僕たちは『太陽を上げられた』のだから、当然『太陽を沈められる』こともできるんだよねえ。
 そして、僕は声をあげる。
 ラストソングまで後わずかだけど、僕はもう少し声をあげていたいんだ。

 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ! テイッ!
 ……

ミサイルだもの

※本作はフィクションであり、実在の人物・団体・事件・地名等とは一切関係ありません。

ミサイルだもの

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-01-17

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted