多久さんの事件簿『令嬢の暗闇』45

Shino Nishikawa

多久さんの事件簿『令嬢の暗闇』45

大変な時代は誰にでもある

多久さんの事件簿『令嬢の暗闇』
「こんにちは、多久です。今日、伊勢神宮に行ってきました。僕がついたとたんに、空が晴れ渡ったので、やっぱり僕は神様に守られていると、つい信じてしまいました。
その後、お寺にも寄って帰りました。神社に行くと幽霊が見えるようになりますし、お寺に行くと、菩薩様の霊についてもらえます。
それで、僕が菩薩様に指示された事件を、今日は教えようと思います。
でも、ちょっと、僕は今日たくさん歩いて疲れているので、いつもどおり短めにいきます。」

邦代には英恵という妹がいた。けれど、邦代が自由に過ごしているうちに亡くなってしまう。英恵が焼かれて骨になった時、変わり果てた姿を見て、邦代は泣き崩れた。
邦代は生きている時の英恵よりも、骨になった英恵のことをよく思い出した。

東京で過ごしていると、前よりも人生が楽に感じた。
邦代には、大惠田という大富豪の親戚がいた。娘のエリーは邦代のはとこだ。
しかし、ある日、エリーが死ぬ。その訃報は邦代の家にも届いた。
邦代はエリーの身代わりになることにする。
母親は言った。
「だけど、お前はエリーなんか大嫌いだって言っていたじゃないか。」
「そんな事言ったっけ?母さんが勘違いしているだけでしょ。」
邦代はネックレスをつけながら言った。

邦代はエリーになりきった。その姿は大胆だった。
邦代には執事がついている。エリー時代から、ずっとその人だ。
ベンツの中で、邦代は紳士な執事に言った。
「お父様が行った場所には、写真が飾られる。お父様が食べたお菓子には、大惠田御用達という札がつけられる。これって変わっているって思いません?」
すると、執事が言った。
「変わっているとかそういう問題じゃないよ。あんただって、偽物なんだろう。」
執事は、どこをさわれば、女のスイッチが入るのか熟知していた。

邦代はベンツの中で、そういう事をしてしまう。
そういう事を何度か繰り返すと、執事は邦代に飽きたようだった。



大変な時代は誰にでもある。
それは神様を信じないせいなのだ。

日本が大変な時代というのは、神様を信じていないせいである。

多久さんの事件簿『令嬢の暗闇』45

多久さんの事件簿『令嬢の暗闇』45

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-01-17

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