【超短編小説】友だち

六井 象

 お父さんが新しい友だちを連れてきてくれた。つむじに、リンゴみたいなヘタがくっついていた。ということは、友だちの木から採れた友だちだ。新しいのが出来たのだ。ぼくは喜んで友だちを部屋に入れ、いっしょにテレビゲームで遊んだ。対戦ゲームだ。でも、最初のうちは楽しく遊んでいたのだけれど、友だちがあまりにも勝ちすぎるうち、だんだん楽しくなくなってきた。ぼくはトイレに行くふりをしてお父さんの部屋に行き、「あの友だちはゲームがうますぎて楽しくない」と打ち明けた。お父さんは悲しそうな顔をした後、「今度はゲームか」とため息をつきながらぼくの部屋にやってきて、友だちを連れて出ていった。なかなかうまくいかない。これで、友だちの木に新しい友だちが出来るまで、またぼくは一人ぼっちだ。一つのコントローラーで二人用のゲームの続きを始めた。張り合いがないけれど、負けるよりはましだと思った。さっきの友だちは今頃粉々にされ、お母さんがボウルの中で色々なものといっしょに混ぜていることだろう。夕飯の時間になったら再会だ。

【超短編小説】友だち

【超短編小説】友だち

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-01-15

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