眠れぬ森の淑女
悒鬱たちをひきつれて わたしは森にとじこもる 林檎の果実を月にあわせて あなたに体温をあげるの あなたの花言葉は誘惑だって知っているのに わたしがあなたを誘惑してる 寂しいのよ 淫乱だって嗤うかしら 沈魚落雁閉月羞花 みんなわたしをそう云うけれど わたしだってセンチメンタルなうたをうたいたいときがある あなたもそうでしょう? その唇で接吻されたら もっと乱れてしまうかもしれない ごめんなさい きょうだけきょう以外わすれさせて 欠けた指輪でも愛してくれる? 「欠けてるからこそ好きなんじゃない」 あなたのまえで淑女はやめるわ 淫乱だってかまわないわよ だからもうすこし もうすこしだけそばにいさせて 花とまぐわう夢をみさせて 「ずっと夜がつづいたらいいのに」 だれにも受信されないわたしの遺言 儚さに溺れふたりはきえた
眠れぬ森の淑女