誰のものにもなれない

渡逢 遥

深いかなしみが喉を支配する

膿で創られた噴水広場は

無機質な風で瘡蓋(かさぶた)になる

わたしは有理数じゃない

はやくその括線(ヴィンキュラム)をしまって

そんな眼でわたしをみないで

わたしたちはことばを憶えすぎた

ことばに温度をあたえるためにうまれてきたの?

沈黙の融点はいつだって37℃

泪は希釈すると嘘吐きになまえをかえる

もうじきビーカーは表面張力の限界を迎え

わたしのアスファルトを濡らしていくだろう

誰のものにもなれない

誰のものにもなれない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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