晩餐

ちひろ

あきちゃん、どうしたの?

真っ白の皿が小刻みに揺れる。

みゆうちゃん、どうしたの?

真っ白の皿に赤い林檎が照りを返す。

りなちゃん、何してるの?

真っ白の皿の赤い林檎が、一口だけ減っていて。

ゆうみちゃん、それは何?

真っ白の皿に赤いカケラが、一つだけ。


ちひろちゃん、それは?

目の前には赤いスープが真っ白の皿に少しだけ。

「さぁ、飲んで」

見渡すと、あきちゃんもみゆうちゃんもりなちゃんもゆうみちゃんもこっちを見てて

少しだけ上がった皆の口角が真っ白な皿に反射してて。

「これは?」

震えた手でスプーンを持つと、もう一度皆の顔を見た。

りなちゃんの抱えた左指から、少し血が出ていたけど、私はあまり気にせず真っ赤なスープをすくった。

さらりと喉にはいってきたそのスープは、それが何かを私に教えた。

「おいしい」

震えた足が今にもテーブルに届きそうだった。

にっこりとみゆうちゃんの顔を見ると、満足そうに私を見て微笑んだ。

赤いカケラがだんだんと、ぼやけた視界がはっきりしていくなか、それが何かを教えてくる。

テーブルの真ん中には、昨日まで隣にいたななせちゃんの頭がこっちを見て、微笑んでいるように見えた。

晩餐

晩餐

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-01-08

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