スノーホワイト

渡逢 遥

めをさまし、カーテンをあけると、見なれたこじんまりとしたお庭に、冬の姿がありました。大地や草花をしずかに抱く純白の結晶が、目をつむりながらやさしく微笑みました。雨とちがって音を怖がる彼女は、ささやかなくらしをのぞんでいます。接触せずに同じ目線で黙視するわたしを物珍しそうな顔で見つめ返すあなたのひとみが、ため息が漏れそうなほど麗しくありました。秋まで生きている蝉を残蝉というのだけれど、わたしは春のあたたかさをしらないから、蝉よりきっと不幸せだわ。そう零すと、葉にのしかかる氷塊がほろっと花壇の柵に落下し、衝撃で魂が分裂しました。腕を露わにしたからだ、葉脈がリストカットの痕跡のように生々しい。彼女とは、真逆。わたしのはなし相手は、臆病ながらもしたたかさを秘め、偽物の清楚をきらい、だれよりも輝いている。あなたとふたりではなしていると、あなたと同化した心地になるの。空に一緒に看取られることが、こんなにうれしいことだったなんて、わたし夢にも思わなかったわ。最愛の季節へ、わたし、いまどこにいるかご存知ですか?あなたのひとみで、微笑んでいます。

スノーホワイト

スノーホワイト

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-01-08

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