もぎる
見えるものたち
胡桃割れ不幸はなんと美しい
深酒の夜りんどうの色は濃し
寂しいとつぶやけば来て金亀虫
生きかたがまるで違うのとろろ汁
土筆摘む心の棘を抜くように
あやふやなものたち
この愛がかわいてしまって無花果
さよならと言いて葡萄ひとつ抜く
秋の蝶ひらひらおちていくばかり
菫咲きポツリと夜が落ちてきた
薄紅葉わたしはひとつ歳をとる
正しさや歳暮の包み紙のかど
秋めくの致死量とうにこえました
秘めたるは黙示録なり花畑
ちぢんではふくらむ河豚の悪夢かな
村時雨えいえんなんてうそっぱち
もぎる