もぎる

見えるものたち

胡桃割れ不幸はなんと美しい
深酒の夜りんどうの色は濃し
寂しいとつぶやけば来て金亀虫
生きかたがまるで違うのとろろ汁
土筆摘む心の棘を抜くように

あやふやなものたち

この愛がかわいてしまって無花果
さよならと言いて葡萄ひとつ抜く
秋の蝶ひらひらおちていくばかり
菫咲きポツリと夜が落ちてきた
薄紅葉わたしはひとつ歳をとる
正しさや歳暮の包み紙のかど
秋めくの致死量とうにこえました
秘めたるは黙示録なり花畑
ちぢんではふくらむ河豚の悪夢かな
村時雨えいえんなんてうそっぱち

もぎる

もぎる

2019年の自選15句。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-01-01

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  1. 見えるものたち
  2. あやふやなものたち