紺
ドロドロに溶けた少女が天使の銅像を浸食する。紺色の液体をしたそれは、傷付いた天使の白い羽に包まれて輝きを見せる。時間の停止。命を彩る紺と白。あちこちに走る電撃。圧縮。嘲笑うかのように歪んでいく果実たちの輪舞曲。肩の上でクジャクが、己の存在を示すべく優美に羽を広げ、その姿に色を失った天使が微笑みを向ける。夕闇に溶けた紺色が熱を帯び、夢への扉の幻覚を追い掛けては壁にぶつかり泣き喚く。月の光が小さな魂をライトアップして、透明な涙は西方の外れ値に愛を捧げる。罪悪感から作り出された薬品は世界中に蔓延し、熱心に天使の銅像を磨いていた、あの無垢な少女をも溶かしてしまった。
紺