脂肪の溜 しぼうのたま


父は寝るとき、裸で寝る
私も寝るとき、裸で寝る


沈めた時の あの擦れる感触が
皮膚にくるのが、好きだという。

変な父さんと
変なわたし

そっくりよ、と 母は笑う

頑固な性格
二つのえくぼ

ジーンズの脱ぎ方に
箸の持ち方

受け継がれる脂肪の身体の中に
刻まれているデータは

きっと
鎖のように繋がって 続いていくのだろう

わたしの子にも
子の孫にも

脈々と。


その時はきっと


そっくりよ、と 言うのだろう。



身体をくれた、母のように。

脂肪の溜 しぼうのたま

脂肪の溜 しぼうのたま

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted