商店街のカフェ
窓際の席にいるのはいつも私と君でした。
「あの店に行こうよ。あそこだと集中出来るんだよね」
テストの前日になると君が言います。
「あそこで集中出来るのはお喋りだけじゃん」
そう言って私は君の隣を歩きます。
小さな商店街の真ん中にあるそのカフェ。
私達がまだ中学生だった頃、ささやかな憧れと共にオープンしました。
君はいつものようにミルクティーと日替わりケーキのセット。
私はコーヒーを1杯。
「よくそんな甘いものだけで揃えられるよね」
「よくそんな苦いもの飲めるね」
学校の帰り、初めて二人でこの店に来た日。
このやり取りがなんだか可笑しくて、ここに来るたびに繰り返していました。
ノートを開くとお喋りの始まりです。
いつまでも落ち着かない商店街の通りを横目に、私達は永遠の時間を共有していました。
しばらくぶりのこの街を歩きます。
あの店があった場所の前で待ち合わせ。
本当に永遠になった私達の隣で、君を見つけて手を振りました。
商店街のカフェ