地底湖、青、きみの深度

あおい はる

 二十七時の、だれもふみこめない、深い青の頃に、きみの心臓の音がすこしだけ、きこえる。とくり、とくりと、やさしい音が、耳をよせなくても、わかる。誰かの家の、庭の、白い花の群れが、月光を浴びて、青ざめて、公園の池を覗きこんでいるのは、どこかのしらない、ねこ。あしたの朝は、目玉焼きがたべたいねって言いあいながら、あしたの朝がくるかどうかもわからない、二十七時を、やりすごしている。
 かなしげに鳴いているのは、おおかみのこども。
 まよなかの、住民。
 二十七時は朝のようなものかもしれないけれど、まだ、たいようはねむっているし、月は、星は、いきいきと、かがやいているし、この街のしたにあるかもしれない、地底湖は、きっと、空にまけないくらい、深くて青い。
 綿のおふとんでねむる、ちいさなものたち。学校は、そろそろ、ユタラプトルに支配されそう。冬はどこからうまれて、どこにいって、どこでしぬのか、わからないから、いや、それは、春も、夏も、秋も、そうだね。きみと、ぼくだけの国、というものをいつかつくれたら、と思う。チョコレートの甘さだけがのこる、くちづけのあとの、やわらかな睡魔は、沈むような、空よりも、地底湖よりも、きみの、みえないからだのなかにある、無限、の、底のない、ところまで。

地底湖、青、きみの深度

地底湖、青、きみの深度

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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CC BY-NC-ND
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