干渉、観賞、かんしょう、カンショウ
能力者です。霊能者です。実は神の転生した姿です。
私が本気を出せば一捻りです。いろんな神や龍や魔族が味方なんです。
私はそのへんの人間より秀でています。私はそのへんの人間より強いんです。
人より優れた力を持つ、人並みの存在達によるバラエティ
司会者「さぁさぁ、お集まりの皆様! 今日もこの時間がやってまいりました!」
ガヤA「わぁぁぁぁ!」
ガヤC「待ってましたー!」
ガヤD「今日はどうなるの?」
ガヤB「早く早くー!」
司会者「まぁまぁ、落ち着いて下さい! 今夜の主役はこちらの方々です、さぁ~、いきますよぉ!?」
全員『どうぞ、おいでくださいませー!!!!!』
SE(バサァ!)
司会者「はい、こちらの三名が今夜の主役でございます! では、端から順に自己紹介して頂きましょうかね~! まず、一番左側のあなた!」
SE(ジャン!)
ティア・マリア「あ、私ですか? あ、えっと・・・・・・こんばんは! 占い師をやっています、ティア・マリアといいます! 占いの他にヒーリングもできます! 前世が巫女で、仕えていたところの神様が私を守ってくれています」
司会者「美人な占い師さんですね~! 巫女さんだなんて、私も癒してもらいたいですよ、ほんとに! はい、では次の方!」
姫華璃「こんばんは~、姫華璃っていいます。見る人が見れば分かるんですけど~・・・・・・、えっと、実は前世が太陽神でした。なので、かなぁり霊感強くて毎日困っちゃってるんですよね、あはは!」
司会者「太陽神ってことは、あの有名な神様なのかなー!? すごい人がやってきちゃったねぇ~、楽しくなってきましたぁ! お次の方、どうぞ!」
メロト「こんばんは、メロトっていいます。あんまり詳しくは言えないんですけど、敢えて言うなら、魔界の王は親友って感じですね。龍神達や、世界各地の神様が護ってくれてます。いろいろできます」
司会者「親友に魔王がいるなんて、豪勢だねぇ~! うんうん、いいよいいよー! そんな個性たっぷりの三名が来て下さいました! 皆様、どうぞお近くに寄ってご覧下さい!」
SE(ザワザワ・・・・・・バタバタ、カツカツカツ)
「えぇ~、どの人だろ?」「やっぱ太陽神じゃない? アレっしょ、あまてら~とかってやつ」「でもさ、龍神ってすごくね? 龍で神様とか、すげーの二つもくっついちゃってんじゃん」「んなことよか、最初の占い師かわいくね?」「司会者の発言がまたエロいよな、癒してほしいとか言っちゃってさぁ」「え、いいんだよ、巫女はそういう役目もあったんだから」「え、マジで? 巫女ってビッチだったの!?」「何でそーなんだよ、巫女は巫女だろ」「っつーか、あの三番目の人、ちょっと偉そうじゃね? 自分すげー強いんで~ってカンジで」「ナンカ、めんどくさ。どっちでもいいじゃん」「魔王が親友って何? どういうこと?」「人間よりも付き合いやすいってことなんじゃね?」
SE(ピィィー・・・・・・)
司会者「それでは皆様、お席にお戻りを! ・・・・・・はい、戻りましたね? それでは、質問いってみましょーか! 先ずはあなたから、どうぞ!」
Y「あ、わ、私!? え、えっとぉ・・・・・・、それじゃあ、メロトさんに質問です。いろいろできるってさっき言っていましたけど、具体的には何ができるんですか?」
メロト「具体的にって言っても、絞るのは難しいんですけど、そうですね、霊視、除霊はふつうにできます」
Y「ふつうにできるって、つまり?」
メロト「集中すれば視えるし、除霊も遠隔とかできますよ」
司会者「集中することによって、除霊も遠隔霊視もできるときました! これはレベルが高いと見ていいのかなぁ?」
SE(ピコーン)
姫華璃「ちょっといいですかぁ? 司会者さん、こんなんでレベル高いって、それは無いですよ、無い無い!」
SE(ザワザワ・・・・・・ザワザワ・・・・・・)
司会者「おぉ~っと、これは! 大胆にも否定しに掛かりましたねぇ~! その理由や如何に!?」
姫華璃「得手不得手もあると思いますけど、ここに来られるってことは、それなりのレベルが無いと駄目ってことじゃないですか。したら、除霊とか霊視とかってフツーだと思いますよ。私もできますし」
司会者「なぁ~る! ここに居る人は全員、除霊も霊視もできて当然のレベルということですね!? あ、でもティア・マリアさんは占い師でしたね。畑違いってことで、除霊はできないんじゃないかと思うんですが、そこのとこ、どうなのでしょう?」
ティア・マリア「確かに除霊はできないんですけど・・・・・・、でも、前世で仕えていた神様が守ってくださっているので、悪い霊などは私に寄ることができません。親しい人なら、神様が同じように守ってくださいます。だから、除霊の必要は無いかな」
司会者「依頼として請け負うことはできないけど、自分と周りの人は守れるってことですか~。それなら、どこに行っても安心でしょうねぇ! はい、次の質問どうぞ!」
R「えーと、じゃあ・・・・・・、姫華璃さんに質問なんですけど、前世が神だって言ってましたよね? 何で人間になったんですか? 何か目的が?」
司会者「おぉ~、これは核心に迫った質問ですねぇ! よっぽど暇な神でなければ、目的があって地上に来たんでしょうからね! どうなんですか!?」
姫華璃「えぇっとぉ・・・・・・、まだ目覚めてちょっとしか経ってないんで、前世の記憶とか完全には目覚めてないんです。でも、私は太陽神として、人間を救うために転生したんだって言われているんですよね。今はまだ不完全だけど、完全に目覚めたら動き出そうって感じなんですよ」
R「それは誰が言ったことなんですか? あなたを目覚めさせたキッカケになったものって、何なのでしょうか?」
姫華璃「私の友達にすごく力の強い子が居て~・・・・・・あ、その子は八大竜王のうちの、徳叉迦って竜王の化身で、めっちゃ強い子なんですよ。その子が私を目覚めさせてくれたんです」
R「それで太陽神だって分かったんですか?」
姫華璃「私の魂は太陽の様に強い光を放っていて、中途半端なレベルの奴は近付くこともできないんですよ。まぁ、視えないと分かんないと思いますけど」
K「ごめんなさい、横から失礼しまーす。竜王と太陽神って何か関係あるんですか? というか、目覚めたこと云々よりも、何故あなたが人間に転生したのかってことを訊きたいんですけど」
姫華璃「だからぁ、人間を救うためだって言ってるじゃないですか」
N「ちょっと失礼。その人間を救うってのは、具体的にどういうことをするんですか?」
姫華璃「え~? ちょっと、ちょっと・・・・・・、救うって言葉の意味、分かりますよね? あんまり本読まない感じですか? まぁ~、私とあなた達とでは感覚が違うから、ピンとこないとは思いますけど」
N「そうですね、違うと思います。だから説明してください。救うって、どういう行為を指して言っているんですか?」
姫華璃「とーっても大きな仕事なんですよ、救うってのは。私が完全に目覚めた後じゃないとできないことなんで。まぁ~、後で分かりますよ。っつーか、たぶん今話しても分からないと思います。だから、不毛なんでやめません?」
R「不毛だとは思いませんけどね。分からないだろうって言うなら、分かるように話すべきだと思いますけど」
司会者「おぉ、何だか白熱してまいりましたぁ! 確かに、一口に救うと言っても、いろいろなやり方がありますね! 十人十色、十把一絡げというわけにはまいりませんでしょう! ところで、先ほどから ティア・マリアさんは黙ったままですね~。何か意見はおありですか?」
ティア・マリア「え? 私ですか? うーん、何と言っていいのか解らないんですけど、姫華璃さんは太陽神の転生した姿で間違いないかなって思いました」
司会者「ほほぅ! それはまた何で?」
ティア・マリア「私を守ってくださっている神様が、姫華璃さんの魂に触れて安らいでいるんですよ。太陽神の光は神々しくて美しいものですから、神々を宥められるんです」
司会者「つまり、自分のとこの神様が認めれば、その人は本物になるというわけですね! 基準はそこにありってことで!」
姫華璃「ありがとうございます、ティア・マリアさん。それが解るってことは、やっぱ貴女も強い力の持ち主なんですね。ウチんとこの麒麟や龍が貴女に懐いちゃってますもん」
ティア・マリア「そうなんですか? 嬉しいな」
K「待って待って~。龍やら麒麟やら、唐突に出てきましたね。どういう関係がおありで?」
司会者「おぉ、なかなか引き下がりませんね~! でも、そのへんはメロトさんに訊いてもいいんじゃないんですか? どうです、メロトさん!」
メロト「え、俺ですか? えーっと・・・・・・、俺の場合は頂点に立っている奴と契約しているだけなんで、種族とかあんまカンケーないんですよ。龍だろうが精霊だろうが、統括しちゃいます」
N「契約っていうのは、先ほどおっしゃっていた魔界の王のことですか?」
メロト「そうです。俺はグリムって呼んでますけど」
N「魔界の王が統べるのは魔界だけでなく、この現世も範囲に入っているんですか?」
メロト「魔界とこの現世は表裏一体なんで。天使達の領域もあれば、俺らの領域もあります。その間に居るモノは、どっちかに所属していると考えてくれればいいんじゃないですかね」
R「それで、あなたがいろんな存在に守られているんですか?」
メロト「なんせ魔界の王の命令ですから。他の奴らは従うしかないし、俺自身からのこともあって、守るようになってます」
K「じゃあ、メロトさんは偉い人なんだー。太陽神さんは魔界の王さんは知ってるんですか?」
姫華璃「ん~、あんまり知らないなぁ。だって、私とは棲む世界が違いすぎるし。魔界の王だって、私をじかに見ちゃったら火傷しちゃうかもしれませんもん」
メロト「その前に、広い闇に囚われると思いますよ。魔界の王はなかなか手強いし、したたかですから」
姫華璃「いくらその方が強くっても、そういった闇とかで消せない存在も居るって知っておいた方がいいですよ? 私に手を出したら、他の神や龍達が黙っていませんから」
ティア・マリア「ちょ、ちょっと、姫華璃さん!」
メロト「どうやら何にも知らない太陽神さまらしい。天空に存在しながら、足元にどういう存在が居るのか、大地を支えているのが誰なのか、忘れちゃってんだな」
姫華璃「いや、だぁ~かぁ~ら! そういった口を利くのが、そもそも分不相応ってやつなんですよ! 私の光の前では、どの存在もすべからく焼かれるんですから」
K「その『すべからく』は誤用ですよ・・・・・・」
メロト「へぇ、じゃあどんだけ強い光なのか、見せてもらおうじゃないですか。この場で太陽光発電とかできちゃいます?」
姫華璃「・・・・・・調子に乗るでないわ、人間風情が」
司会者「お、おぉぉ!? 姫華璃さんが急に人が変わったかのように! これはもしや・・・・・・噂の太陽神様がとうとう顕現されたのか!?」
メロト「太陽神自らが出向いてくる? そんな馬鹿な。ただの演技でしょ」
姫華璃「それ以上、我を愚弄すると只ではおかぬ。今ならば、魔の王とやらの平伏で許さんでもないが」
メロト「何でただの人間に、魔界の王がひれ伏すんですかね? あんた、自分の立場が解ってないよ」
姫華璃「理解っておらんのはお主の方じゃ。我を愚弄し、その様な口調で話すなど言語道断。魔界に総攻撃を掛けても良いのだぞ」
N「おい、口調を統一しろ。どんだけキャラがブレてんだ」
メロト「そうそう、口調がボロボロ。荘厳な雰囲気出そうとして、逆に失敗しちゃってますよね。恥ずかしいなー」
ティア・マリア「メロトさん、本当にやめてください! 姫華璃さんと争うためにここに来たわけじゃないでしょう?」
司会者「対立する魔界の使者と太陽の化身! その間に立つ癒しの巫女! なかなか良い相関図ができてきたところで、そろそろいきましょうかねぇ!」
SE(ダッ、ダララララララララ・・・・・・)
司会者「さぁ、今宵の人間は誰か!? 人間じゃないのは誰か!? お答えください、皆様の声で!」
SE(ダラララララララ・・・・・・、タンッ!)
「・・・・・・みんな、そうじゃない?」「大差ないですよねー」「結局、一人もまともな説明できてないしね」「みんな人間じゃん」「そうそう、まとわりついているモノが違うだけ」「人間じゃないものになりたいだけ」「こっちのこと馬鹿にして話さないと、威厳が保てないんだね」「人間っぽいわー」
人間、人間、同じ人間だ。
言っていることが違うだけ。設定が違うだけ。
持っている力の説明はできない。転生した理由は考えたことがない。
都合のいいことだけ聞こえる耳。都合の悪いことは黙殺。
認めてくれるヒトは、同じぐらい強い力を持つ能力者。でも、私よりは弱い。
認めてくれないヒトは、見えないものを信じられない哀れなヒト。だから、誹謗中傷しかできない。
信じたいことだけを信じ、見たいものだけを見る。
それは紛うことなき人間の姿だ。
『人間だ、人間だ、人間だ、人間だ!』
姫華璃「我は太陽神じゃ! 人間に転生しただけで、いずれは還る者じゃぞ!」
『人間だ、人間だ、人間だ、人間だ!』
メロト「魔界に行き来できる人間なんて、そう居ないですよ。俺、もう半分は違うモンになってるし。まぁ、好きに言ってればいいですけど」
『人間だ、人間だ、人間だ、人間だ!』
ティア・マリア「私は人間ですけど・・・・・・、使命があるんです。神様のお役に立ちながら、世界に愛と光を届けたいんです!」
『人間だ、人間だ、人間だ、人間だ!』
司会者「人の思惑はそれぞれ違えど、辿る結末はほぼ同じ! 次はどこにツッコミを入れられるかを考えて、的確な答えを出せるように訓練しておきましょうね!」
『訓練、訓練、訓練、訓練!』
司会者「人間だって捨てたもんじゃないですよ? それを認められないのも、また人間。認めるのも、また人間。人間って奥深いでしょう?」
『アハハハハハハハハハハハハハハ!!!』
司会者「それでは人間の皆様、またこの時間にお会いしましょう! ご機嫌よう!」
干渉、観賞、かんしょう、カンショウ
作業用BGM
少女貴族 / ALI PROJECT
Halation / ALI PROJECT
上記の様な方々と話す機会があって、結果、できあがった喜劇。
アイデンティティ・クライシスは避けたい模様。皮肉しか浮かばない。
H23.7.26