何も始まらなかった一年の終わりに

12月31日23時59分59秒

私は言葉をひとつはなとうとした

何も始まらなかった一年の終わりに

ふさわしいなにかを


しかしその言葉は1月1日0時00分00秒の風の中へさらわれ

私の外へたどり着くことはなかった

私はひとつあくびをすると

言葉をわすれてしまった


さらわれた言葉はというと

いまでも北極の上をさまよっているようだ

何も始まらなかった一年の終わりをまちながら

何も始まらなかった一年の終わりに

何も始まらなかった一年の終わりに

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-26

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