お泊まり会

『食べる?』

スナック菓子を差し出す手は暖かく

うっすらと湿った髪の匂いが湯船の温もりを想起させる

「せっかく歯磨きしたのに」

笑いながら受け取った

やがて明かりを落とした部屋は

緩やかな香りに包まれる

『明日何時に帰るの?』

囁きに仄めく感傷の後で

「まだ決めてないかな」

それだけ言って大きく深呼吸

胸いっぱいに広がる小さな世界の空気を

夢の中まで連れて行くんだ


それでも少し寂しくなって

暗闇の中でまた目を開けた

お泊まり会

お泊まり会

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted