さめぬ夢

夏と冬は恋をしている

ほどよい塩梅がわからないから

いつも皆に嫌われる

わたしたち今度は

季節のない国に生まれよう?

夏は神妙な面持ちで言う

あなたを近くで見たいのに

あなたは遠くから見られたがるの

わたしはあなたを抱きしめたいのに

わたしはあなたを抱きしめられない

手も脚も口も眼も何もかも

とうの昔に壊死したわ

とめどなく溢れるこの泪は

あなたの肌には冷たいですか

あのときわたしは気附いたの

記憶は思い出す瞬間にこそ美しいと

わたしがあなたになれたなら

もういまの体温で

話すことはなくなってしまうかしら

さめない夢を死ぬまで観させて

月も太陽も要らなくなる日を

さめぬ夢

さめぬ夢

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-25

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