さめぬ夢
夏と冬は恋をしている
ほどよい塩梅がわからないから
いつも皆に嫌われる
わたしたち今度は
季節のない国に生まれよう?
夏は神妙な面持ちで言う
あなたを近くで見たいのに
あなたは遠くから見られたがるの
わたしはあなたを抱きしめたいのに
わたしはあなたを抱きしめられない
手も脚も口も眼も何もかも
とうの昔に壊死したわ
とめどなく溢れるこの泪は
あなたの肌には冷たいですか
あのときわたしは気附いたの
記憶は思い出す瞬間にこそ美しいと
わたしがあなたになれたなら
もういまの体温で
話すことはなくなってしまうかしら
さめない夢を死ぬまで観させて
月も太陽も要らなくなる日を
さめぬ夢