闇を泳げ

脚がなくたって俺には手がある

足掻け 藻掻け のたうちまわれ

ここまで歩いて来た路は

予定調和の平均台か?

脚を斬られた人間は

ここに来るなとおまえは嗤うか?

人の敬虔さを養分に

どこまでも阿呆で懶惰なものだな!

俺は おまえを宛にはしない

俺は おまえを宛にはしない!

おまえなんかに負けるかよ

装飾のない眼と実直で

血が噴き出しても這いつくばるぞ

おまえなんかに負けるかよ

おまえなんかに負けるかよ!

歩けない 歩けない 歩けない それがどうした!

走れない 走れない 走れない それもどうした!

俺は泳ぐぞ 泳いで行くぞ!

冷め切った空を嬲りまさぐり

月に血痕を遺してきてやる

俺は夜を喰う おまえにはまだ喰えないだろうな

そして上手に嚥下する おまえの擬態もそこまでだ

夜の代名詞になった俺は強いぞ

恐れるものなんざ何もない

その首洗って待っていやがれ

おまえを倒しに闇を泳ぐぞ

闇を泳げ

闇を泳げ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-24

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