心の病気2

オイッ、看護婦!
昨日はよくも体よく寝かしつけてくれたな!
お蔭で文句の半分程度しか言えなかった!
てめえ、何でこっち見てやがる!?
そんな瞳して、こっち見んな!
俺は病人だぞ。心に穴が開いてんだ!
もっと労わりつつ介抱してくれよ。
俺は気力がないんだ。心が空っぽなんだよ。
心が、な!?・・・分かるか?
いつもいっつも狂言じみたことを
喋っているわけじゃないんだぞ。
この様子には、痛みが伴っているんだ。痛みが、さ。
空っぽで空っぽで毎日仕方がねえんだ。
恐怖と不安とで押し潰されそうなんだよ?分かるか。
医者と看護婦なら、分かってあげようとするべきだろう。
俺は、別に、責めてる訳でも、怒ってる訳でも、ないんだ。
ただ、今が、今が、恐ろしくて。怖くて。堪らないんだよ。
誰かの手がないと、生きていけないんだよ。
分かるか。分かってくれよ。
じゃないと、俺怖くて死んでしまうよ。
看護婦。俺を見放さないでくれ。嫌いにならないでくれ。
嫌いにならないでくれ。怖い。怖いんだ。
抑えられないんだ。怖い。何処にも消えないでくれ。
俺を見放さないでくれ。どうか、お願いだから。
家族も、友人も、どっかに行っちまった。
俺は何も変わらないから、どっか行っちまった。
でも、俺も出口が分からねぇ。
誰もいなくなって、孤独に至っても尚、出口が見出せねえ。
どうしようもねぇ人間は、どうすればいい?
賢くもない、弱いばかりで迷惑にしかならない、
そんな俺みたいな人間はどう生きればいい?
教えてくれよ、教科書でも開いて、教えてくれよ。
解答はねえのかよ、看護婦さんだろ。
あぁ、・・・・・疲れた。疲れた・・・・・。
今日も、もう寝たい。寝たい。苦しい。生きていたくない。
誰か、・・・・何処か・・・・助けて。
助け出してくれ。
看護婦 さん。


喋りに喋って落ち着いたのか、
今日も疲れて松友さんはご就寝なされました。
尚、松友さんの入院費用は全額、
ご家族の元に請求されておりますので、ご心配なく。

心の病気2

心の病気2

わがままばかりを言う、心の病気の患者の様子です。 一方的な話し口調で書きました。 読んで頂けると、幸いです。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-10-29

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