明日を待つ駅にて

灰色の駅は冷たくよどんで

“明日”を待つ人は皆いつでも

かじかむ手をすりあわせながら

身を寄せ合ってひしめいている


白い吐息の中へ隠された祈りは電灯の薄闇の中に結晶し

人々の上に白く鋭く降り積もっていく


結晶に侵された老婦人が言う

「なにも始まらなかった一年の終わりに

北極からの列車がくるのよ

私の愛した人達をいっぱいにのせてね」


列車はまだやってこない

白く染まった彼女の手は冷たく

ふれた私のほおにひとつ

氷の結晶が残った

明日を待つ駅にて

明日を待つ駅にて

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-23

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