今日も夜が長い

今日の仕事先は深夜の病院 夜中の0時着
深夜の病院で看護師の方々に挨拶をして現場へ

深夜の病棟は静かで 患者は眠り
看護師は次の作業の準備をしていた

以前訪れた時 開けっ放しの病室から見えた患者の姿が 今でも忘れる事が出来ない いや 忘れる事を拒んでいるかの様に焼き付いている

その時も深夜だった その時は 忙しなくナースコールが鳴り響きいていた その病室は個室で開けっ放しになっており
電灯が点っていた ベッドから 腕が二本天井に伸びて何かを追う様に宙を掻いていた手には掻き毟り防止の手袋が被せてあり 声にならない呻きの様な言葉を話していた 部屋には患者だけだった

その光景が私には 死の淵より怖く恐ろしく動揺したのを覚えている そして今でも度々思い出し その度に向き合う様にしている 何が恐ろしく何が怖ったのか 死の選択を奪われた事に対しての恐怖なのか 憐れみがその濃度を増して自分が飲み干せ無かったのか 議論は尽きない

今日も夜が長い

今日も夜が長い

今日も夜が長い

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-22

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