スターウォーズ フォースバース

Zin

  1. フォースを求める文明と遥か未来、フォースを操った文明
  2. すべてがおとぎ話になった、遠い遠い未来。宇宙の全生命体がフォースを自在に操れる時代が到来していた。

フォースを求める文明と遥か未来、フォースを操った文明


 フォースがどこから来ているのかを調査するべく、アルベタロ銀河を離れ、すでに344322もの超光速航行を繰り返した。我らの船団が銀河調査連隊からフォースの調査を依頼され、120万人の多種族で宇宙へ出発してから、数年もの年月が過ぎようとしている。
 わたし、ファラ人のグーフォッファは船団をまとめる提督として、フォースエンジンを駆使した船団をまとめ、永遠に続く宇宙を航行している。
 今のところ、フォースについて分かっていることをここに書き記しておく。

 ・フォースとは宇宙全域にあり、物質をつなぎ合わせているエネルギーである。
 ・まれにフォースを生身で操作することのできる人物が産まれる。
 ・フォースを自在に操ることができれば、銀河を破壊することすら可能となる。

 フォースとは、目には見えない。触れることすらできない。だが、まれに誕生するフォースの力に恵まれた人々は、フォースを感じることができ、その恩恵として、物体に手を触れずに動かすことや、自らも浮遊することが可能となる。
 けれども、そうした人物にわたし自身は未だ会ったことはない。

ただフォースとは、宇宙を埋め尽くすエネルギー物質に過ぎず、我らのフォースエンジンは、そのエネルギーを宇宙から吸収することによって、亜光速、超光速航行を可能としている。
 連隊の中には、フォースを利用して転移ゲートで銀河にネットワークを作っている種族もあるが、それはフォースという、宇宙に存在する無尽蔵のエネルギーを使用する技術があるだけであり、フォース自体を理解しているわけではない。
 この調査船団の目的は連隊にあって、未知のエネルギーであるフォースとは一体何なのか、どこから現れるのか、どうして宇宙の物質を結びつけているのかを理解し、研究することにある。
 しかし船団は、フォースの強い惑星、フォースの弱いボイド宙域に達したところであり、未だにフォースの研究や探求は進展していない。
 それが、フォースというものが目には見えず、触れることもできないエネルギーだからである。
 フォースを数値で表すことは可能である。弱いか強いかを測ることは、ハガタリアンが数世紀前に発明した計測器の応用で可能となっている。だが、それだけのことだ。フォースが弱くとも強くとも、そこに立ち入ったとき、我々の船団は巨大な現住生物に襲われるか、あるいは生物を食らう植物に襲われるかの違いはあれ、危険なことに変わりはない。
 宇宙の探検という意味では、この航海は成功している。
 だがしかし、フォースの探求としての側面からすると、まったく成果は挙がっていないのが現状だ。
 提督として、わたしは焦っていた。何とかしてフォースの尻尾を掴まねばならない。
 その矢先、わたしは副官のデイウラ人・バドローから報告を受けた。
「これまでになく、フォースが強い銀河を発見しました。」
 今度こそ、何かある。わたしは願うように、船団の進路をその銀河へ向けさせた。
 その銀河の直径は、10万光年を超え、知的文明が発達している最中の銀河であった。
 わたしは船首を、銀河の中心部である、巨大ブラックホールの近くに向けさせた。なぜかフォースとは、ブラックホール近くでもっとも数値が高くなる傾向があるのだ。
 銀河コアへ到着したわたしは、フォースの数値計測結果が自分のフォロスクリーンに映し出されたとき、三つの目玉が飛び出すほど驚いた。今までに数え切れない銀河、恒星系、惑星、衛星を調査してきたが、ここまでフォースの数値が銀河レベルにおいて高い場所はなかった。
 わたしは、すぐさまこの銀河に船団を分散して調査へ向かわせ、わたし自身も銀河コアの近くにある惑星に降り立った。緑豊かな惑星で、そこには獰猛な猛獣も生息していた。白く醜い顔に大きな牙。まさに肉食獣と呼ぶにふさわしい猛獣である。
 まだ未開の惑星の周囲には、他にも四つの居住可能惑星が認められ、この星系を拠点とすることを、提督の権限においてわたしが決定した。
 この銀河は、非常に興味深い。宇宙に栄える文明が集まって設立された、銀河調査連隊である。その130年の歴史の中で、ここまでフォースに恵まれた銀河は初めてだ。まるでこの銀河から、フォースが宇宙にあふれ出ているようだった。

 さっそく、フォース通信を使い、連隊へと連絡した。フォースの調査は連隊にとっても急務であり、宇宙誕生からすでにあったと思われる、このフォースをもっと理解することができれば、宇宙の文明レベルも飛躍的に向上し、貧富の差などもなくなるだろう。
 わたしの故郷である母星・ファラでも、未だに貧富の差がある。軟体生物である我らファラ人は、宇宙でも正直なところ、醜い分類に入る。だからだろうか、太古の昔からファラ人は宇宙ではあまり好かれていない。他の惑星との交易もうまくいかず、社会全体が貧しかった。しかしファラも、今や交易で財を成す者がいる。しかしその一方で、陰では未だに貧しい人々が苦しい生活を強いられている。
 フォースが、それを変えてくれる。わたしはそう信じているのだ。
 数日後、フォースエンジンを使用した超光速によって、連隊から200万隻を超える調査船団が派遣され、我々と合流した。わたしが最初に降り立った惑星は、名称をコレリア、恒星をコレルとし、コレリア星系を中心にこの銀河の調査を開始した。
 連隊の技術は、無数の文明の科学力が集結していることもあり、数日で都市が惑星コレリアに誕生した。主な目的は調査、研究だったので、その施設が大半であったが、もちろん居住施設もあった。
 こうして開始された銀河調査で分かったのは、まずこの銀河には、中心的な文明がないことである。知的生命体は、銀河の至るところで発展しているが、大きな文明は発展しておらず、惑星間を行き来することすらできていないようだ。
 連隊の目的として、文明の発展も重要であることから、各星系で調査隊は文明発展へと尽力し始めた。わたしも、もちろん文明の発展のため、ある惑星に興味を抱いた。惑星・コルサントと名づけたその惑星には、複数の知的種族がいたが、わたしがとりわけ気に入ったのは、人間という種族である。
 彼らの中には、何とフォースを感じ取ることができる人々がいたのである。
 わたしはフォースが何であるか、その追求のため、コルサントの文明レベル発展と共に、いくつかの家族を惑星コレリアに連れてきて、交流することにした。
 宇宙でもっとも不気味な見た目と形容されるファラ人。この紫色でうねうねとした複数の触手は、すぐに子どもたちに嫌われてしまう。それでも、わたしの興味は尽きることなく、人間との交流は順調に進んだ。
 わたしはその中で、ある一人の少女と出会った。名前は「サラ」、赤毛の小さい子どもである。人間の年齢で9歳というのは、これほど小さいものなのかと思えるほど小さく、それでいてわたしの見た目など気にすることなく、わたしに懐いてきた。
 不思議なことにサラといると、わたしは何の違和感や不安感もなくなってしまうのだ。
これが、もしかしたらフォースなのかもしれない。サラは、フォースを感じることができるのかもしれない。わたしは、そう思った。
 わたしは、サラが次第にその力を増していくのを、そばで見て感じていた。あるときは、戦闘機ほどもある岩を空中に浮かび上がらせ、あるときには水を自在に空中に浮遊させ、あるときなどは未来を言い当ててしまったのだ。
 これがフォースの力なのかと、わたしは驚きを隠せなかった。
 だが彼女と触れ合う内に、わたしは悪夢を見るようになり始めた。それは決まって巨大な森の中だ。なぜか木々の間からは海が見える。その海は黒く、恐ろしいほど黒く濁り、波打ち際で、さらにそれは黒く変色していた。やがてわたしは、森の中の土に呑み込まれていく。いくらもがいても、わたしの触手を木々に巻き付けても、体は土に埋もれていくのだ。
 それでわたしは、睡眠カプセルの中で目覚め、汗にまみれていることに気づくのだった。
 この夢が何なのか、わたしには分からなかった。だが、わたしがこの夢を見始めたころ、ある思いが心の中にあることに気づかされた。
「サラを使えば宇宙の心理に触れることができる。」
 あの無垢な少女を、わたしは道具として見ていた。
 サラに、どうすればフォースの真髄を見せてもらえるか、思案していたある日、サラがわたしの部屋にやってきた。そして突然言ったのである。
「これが最後だから、触って。」
 小さい手を差し伸べられ、わたしは何を彼女が言っているのか、分からなかった。しかし、その小さい手に触手の先端をためらいながら差し伸ばすと、彼女が握った刹那、わたしの視界は部屋から失われた。
そこは巨大な宇宙空間のど真ん中であり、わたしはそこで無限の宇宙を見つめていたのだ。
 すると、何かに引き寄せられるように、わたしはとてつもない光速で宇宙を移動した。光、いやそれよりも、ずっと速くわたしの体は移動した。
 そして、水の中に潜ったような感覚に陥ったと思った瞬間、目の前には、無限の薄い膜が現れた。
 最初は、何か分からなかった。だが、膜の一つ一つに宇宙空間が映し出されているのを見て、ここが宇宙の外側なのだということを理解した。
 ただ漂う。それでいて、何て静かなところなのだろう。音は一切ない。周囲で想像を絶する爆発が常に起きているのに、だ。不安感もない。
 するとどうしたことか。膜と膜の間に、ゆっくりとした何かが流れているのが見えた。流れが一つ、二つと見え始めると、漆黒の空間に漂うだけの膜が、互いに何かの流れでつながっているのが見えて来た。その流れは、爆発で誕生したばかりの小さな膜ともつながっていく。そしてわたしが見ている間にも、流れはどんどん膨れ上がっていく。
 そうか、そうなんだ。これがフォースなのか。
 わたしは、フォースが何であるかを見た気がした。
 すると次の瞬間には、その幻想的な世界は消え、わたしの部屋に意識は戻っていた。少しの間、体は重力を忘れ、浮かんでいるような感覚だったが、サラがいなくなっていることに気づいたとき、カプセルの横の通信装置が鳴り、フォログラムが投影された。そして調査員の一人が顔を覗かせた。
「提督、お休み中に失礼いたします。先ほど、連隊本部より連絡があり、別の銀河へ向かえとのことでした。」
 わたしは、それに上の空で答えた。
 銀河の調査は、他の調査船団にまかせて、わたしはさらに別の銀河へ、調査へ向かう。いつものことだから、驚くことはなかった。

 だが、最後にサラに会っておきたかった。しかしあの日以来、ついにサラを見つけることはできなかった。
 サラにあの不思議な世界を見せられてから数日後、わたしの調査船団は連隊の命令どおり、120万人の人員と共にこの銀河を後にした。
 
 あれから幾百年が過ぎた。ファラ人のわたしにも寿命が来た。こうして、ここに記録を残すことで、すべてをつなぐフォースの真実に少しでも近づける者がいることを信じたい。

 連隊の調査船団を離れてしばらく経つが、噂ではあの銀河で調査をしていた船団は、急激な原住民の文化レベルの発展と諍いにより、連隊の命令で立ち去ったという。本当の物語はきっとここから始まるのだろう。

 あのときの少女・サラ。彼女は一体何者だったのだろう。もしかすると、フォースがわたしに見せてくれた、幻だったのかもしれない。

【諸宇宙百科事典40億BBY年代記より抜粋】

すべてがおとぎ話になった、遠い遠い未来。宇宙の全生命体がフォースを自在に操れる時代が到来していた。

 ヤヴェインの戦いは僕の大好きな話の1つだった。少年の頃、僕はいつも祖母からこの話を聞かされていた。遠い遠い昔の話。これが本当にあったのかどうかは今では分からない。ジェダイ、シス、共和国、銀河帝国、反乱軍、ファースト・オーダー。これは伝説の太古の時代に栄えた国家であり、考古学者たちの中には否定する者もいる。

 特にジェダイとシスに関しては否定派がほとんどである。この銀河に国家があったことは確かだろう。しかし文明の発展とフォースの利用によって、人も人意外も皆が意識で繋がり合い、誰もが当たり前にフォースを使うことができている。

 ましてや銀河間を意識だけで移動できる時代に、国家という古びた言葉を使うのは確かに不思議な感覚になる。宇宙は今や1つに結びつき、自由の世界になっている。

 最近の研究では宇宙の外側には別の宇宙が存在して、今も宇宙は無限に増え続けているという。

 フォース研究者の中には、それら諸宇宙と僕たちが住んでいるこの宇宙はフォースで結びつき、細胞のようになっているらしい。

 フォースを誰もが使える時代に、誰がジェダイ、シスなど信じるだろうか。

 ヤヴェインの戦いで反乱軍が帝国軍に勝利し、伝説のルーク・スカイウォーカーが妹のレイア、その恋人のハン・ソロ、ハン・ソロの相棒チューバッカが居たというのは、子供なら誰しもが一度は聞くおとぎ話だ。

 僕もそう思っていた。本物のジェダイと会うまでは。

 あの日、僕はコルサントの下町でアカデミーの友達と飲んでいた。

 酒場はバーテンダーが酒を注ぎ、グラスを複数、フォースの力で空中を浮遊させてテーブルに運んでいた。店の端では酔っぱらいの異星人たちが喧嘩を始め、フォースをぶつけ合い、周囲のテーブルや椅子が弾き飛んでいた。

 コルサントが首都惑星としての機能を宇宙最大の人工惑星ハイトーンに移ってから1000億年。もうコルサントが首都惑星であった最盛期、4000億人が居住していた時代はすでに過ぎ、もはや銀河コアにありながらも、無法者のたまり場と化していた。

 ただ僕たちが進学した銀河アカデミーだけは、今でも機能しており、学生が多く、宇宙中から集まってきていた。

 僕たちグループが青い酒を飲んで、これからの進路について話していた時のことだ。さっき書いたように酒場の端で喧嘩が始まった時、飛んできた金属の椅子がある老人にぶつかろうとした。

 僕は、危ない、とフードとローブの老人にぶつかりそうになった椅子をフォースで止めようとした時、なぜか老人を椅子はすり抜け、鉄の床に甲高い音をたてて転がった。

 23年の人生でフォースの使い方をたくさん見てきた。だが今のように実体を透明にしたのは、初めて見た。

 僕は老人をチラチラと見ながら、同級生の話も半分に飲んでいると、老人が酒場を出ていこうとした。

 慌てて僕は荷物を取り、同級生にまた明日と叫ぶと老人の後ろを追いかけた。

 スピーダーが空を1台通り過ぎるのがやっとの路地に飛び出すと、無法者の異星人たちが行き交う夜の下町を、僕は必死に老人の姿を探した。そしてフードを見つけると、老人に気づかれないように追いかけたのである。

 大通りに出ると、スピーダーが行き交う。その通りの横を老人はゆっくりと進んでいく。裏路地よりも更に人の通りは多くなり、異星人の姿も多い。太古にはそんなこともなかったのだろうが、今では露天商の異星人が声を張り上げ、ガラクタを売っていた。

 高い摩天楼のほとんどが電源が入っておらず、廃墟とかしている。スピーダーの数も全盛期の数よりかなり少ないのだろう。僕らの世代は産まれてからずっと、コルサントはこういう世界だった。

 老人はコルサントを見渡せる公園に入っていった。以前はそこに何代目かの共和国の政治家たちの銅像がたっていたが、今はそれもなく、国家をなくなった宇宙にとって、そこには平和を象徴するホログラムの芸術作品が立っていた。

 ホログラムの前に立った老人は、振り返ることもなく指を振った。

(わたしになにか用事かね)

 それは僕の心に語りかけてきた。フォースで心を操るのは高度な技術だが初めてではなかった。僕はそのまま心で語りかけても良かった。でもあえて声にして言葉を出した。

「あの、さっき酒場での喧嘩で」

 老人は眼を大きく見開いて振り返り僕を見据えた。白く長い髭、眉毛、フードの下から見える白く長い髪の毛。それは僕がまさしくおばあちゃんから聞いていた、おとぎ話のジェダイそのものだった。

「それでバーニン、お前さんはわたしにそれを聞いてどうするというのかね?」

 名前を言った覚えはなかった。それなのにバーニン。僕の名前を老人は言い当てた。

 と、その時だった。公園にそれまで人影がなかったはずなのに、黒いローブ、赤い戦闘用ヘルメットを被った6人の人物たちが、僕と老人を囲むように立っていた。

 僕が気づく前に老人が気づいたらしく、丸く見開いていた眼を今度は鋭く細めて、6人を一瞥した。

「バーニン。けして動くでないぞ」

 老人はそういった瞬間、漆黒の連中はローブの中から細長いものを取り出した。黒い革のグローブで棒状の機械のスイッチを押す。すると真っ赤な光が先端から溢れ、瞬く間にそれは人を殺傷する道具となった。

 ライトセーバー。心の中で叫んでいた。でも圧倒的な漆黒の軍団の押し寄せてくるフォースの圧力で、金縛りになった僕は老人が言った通りに動くことができなくなっていた。

 漆黒の人物はまず1人、赤いヘルメットの残像を残し赤いライトセーバーを振り上げ、老人へ向かう。

 しかし赤い一閃は老人を斬ることはできなかった。緑色の光が赤い光を抑え込んでいた。老人の手にもライトセーバーが握られていた。

 老人は大柄の黒い人物の赤いライトセーバーを押し返すと、瞬間的に中空に跳ね上がると緑色の光が一閃した。すると赤いヘルメットが公園の地面に転がった。

 その風圧でフードが脱げ、老人の白い長い髪があらわになった。

 老人の着地を合図に残りの漆黒の連中が老人に殺到した。

 相手は5人。老人は1人。殺される。僕はわななく唇で叫びたかったが、声が出なかった。それに僕に何ができるというのだ。伝説の、おとぎ話でしか聞いたことのないジェダイが目の前で戦っている。それを僕が助けることなどできない。

 だが老人に心配は無用だった。一斉に自分に降り掛かってきた赤いライトセーバーを、自らのライトセーバーで払いのけると、身を翻し、1人を突き刺した。

 それを抜きざまにもう1人の首をはね、身体を回転させると残る3人も一瞬で斬り倒してしまったのだ。

 ほんの数十秒の間に老人は漆黒の脅威を排除した。

 それから金縛りになっている僕を見ると、緑色のライトセーバーを消し、腰のベルトに指すと、古びたブーツで転がった黒い遺体の間を歩いて近づくと、僕の肩にシワだらけの手を乗せた。

「まずは落ちつけるところに行こう」

 声はまるで僕を縛っていたロープを切ったかのように、急に身体が軽くなり、僕は老人の後ろを追いかけた。

 摩天楼の一角、廃墟となった高いビルの中に老人は入っていく。するとすぐのところの、もとは自動ドアだった場所が開きっぱなしになっており、老人はその中に入っていく。

 戸惑いは不思議となかった。部屋の中に僕が入ると、中にはコルサントでは珍しい木製の棚や食器があり、土で作られた椅子が置かれている。

 老人はローブを脱ぎ壁をくり抜いたところにあるベッドに放り投げると、くたびれたように椅子に腰掛けた。

 入り口に立ち尽くしている僕を見た老人は、手で向かい側の椅子を示す。僕はそれに従い座った。

「わたしはオールド」

 老人は自己紹介すると髭をなでつけ、僕の胸元から顔にかけてゆっくりと品定めするように見ると、また髭の中の口を開いた。

「君はわたしの中に何をみたのかね」

 オールドの問いかけの意味が分からなかった。僕はただ迫ってくる椅子がオールドの身体をすり抜けたことが信じられず、何が起こったのかを聞きたかっただけだったからだ。

 言葉はしかしいらないようだった。オールドはなにかを僕の心からよみとったらしく、軽く頷いた。

「わたしも年だ。フォースに導かれるのも近い。だからこの次元にあってこの次元に半分居ないのだ。だからフォースを高めれば、物質をすり抜けることもできる。フォースとは宇宙のすべての物質をつなぎ、宇宙の外からこの宇宙へ、銀河へ、惑星へ、そして人に流れてくる。我々はそれを少し使っておるだけにすぎんのだ」

 答えはオールドが簡単に言った。でもフォースの導きで次元が違う。僕には意味が理解できない。

「次元が違うとはなんです。そもそも貴方はジェダイなんですよね。あのおとぎ話に出てくる。だったらさっきの奴らはシスの、ダークサイドの連中ってことですか」

 矢継ぎ早に質問する僕を制するように、手のひらで前のめりになる僕を静し、冷静さをオールドは無言で求めた。

「そう慌てることはない。時間はたっぷりある。まずわたしがジェダイかということだが、答えはイエスだ。そしてさっきの連中がシスというのもイエスだ」

 興奮を抑えることのできなくなった僕は、老人にしがみつきたくなる衝動を抑え、目を見開いて更に質問した。

「どうして隠れているんです。銀河に、全宇宙にジェダイがまだ居るということを公表して、おとぎ話が本当だということを証明しないと」

 老人は怪訝そうに両手を上げて興奮を鎮めようとした。

「まあ落ち着きなさい。ジェダイが本当の話だとして、シスが存在するとして、公表してどうするのだね。それになんの意味がある」

 老人の言うことは最もだ。おとぎ話のジェダイとシスが本当だということを宇宙に知らしめて、それで何が変わるというのか。今や宇宙中のすべての人種がフォースを使えるようになった。おとぎ話が現実になったからといって何が変わるというのだろうか。

「僕は祖母から何度も、何度もヤヴェインでの戦いを、ルーク・スカイウォーカーの戦いを、アナキンの悲しみを、レイの強さ、カイロ・レンの葛藤を聞きました。あのおとぎ話が本当だったということに、僕はすごく興奮していて。だからその……」

 頭が整理できなくなっていた。

 オールドはそれを感じたのだろう、僕に手を差し伸べてきた。

 僕は素早くオールドの暖かく柔らかいてを握り返した。

「シスは永遠に潰えることはない。人の、生命体の心に悪がある限り、シスは必ず蘇り形を変え、名を変えて宇宙にはびこる。ジェダイはシスがある限り、永遠に潰えない。光は、希望は必ず宇宙の暗黒の中にも光り輝いているからだ。

 すると僕は意識が身体から離れていくのを感じた。そうそれはまるでフォースに導かれるように、魂が肉体から引き離されているかのようだった。僕とオールドの身体を見下ろしていた僕は、次第に意識が宇宙へ溶け込んでいくのを感じた。宇宙に自分がなったかのように、すべての生命体、植物、恒星、惑星、衛生、銀河とつながったように思えた。そればかりではない。宇宙の外側、フォース研究者が提唱している、フォースは宇宙の外から流れ込んでくる。その光景を僕は見ていた。膜になった無限の宇宙が誕生と崩壊を繰り返す。そこに僕の意識はあった。だがそればかりではない。更にその上、次元を登っていく。3次元の空間と1つの時間の世界から次元が1つずつ大きくなるに連れて、自分の意識が果てしなく巨大なものに触れていくのを感じた。上の次元に登ると下の次元の空間と時間は一瞬で過ぎてしまい、また次の次元に登ると下の次元の空間と時間は1秒もかからず消えていく。宇宙の始まりと終わりはどんどん小さな物となっていく。僕はその永劫の次元上昇をフォースに導かれて進む。そして気付かされた。フォースとは永遠に循環し、溢れてくる。すべてに等しく行き渡り、全てを結びつける。光と影が表裏一体のように。ジェダイとシスの戦いに終わりはない。この次元上昇の間に僕はそれを理解した。

 まるで無限の数の宇宙の始まりと終わり、すべての動植物の始まりと終わりを体験した気分になった僕は、そのあまりのことに、肉体に魂が戻ってからもしばらく椅子から動くことができなかった。

 オールドはそんな僕の背後に立ち、背中に手を当ててくれた。温かい物が身体に染み込んでくるのが分かった。それがフォースであることも。

 次第に僕の身体は自由になり身動きがとれるようになった。

「さあ、もう帰りなさい。君は今日、フォースの真理に触れた。答えを知ることができたはずだ」

 老人は窓際に立ち、かつて栄えていたコルサントの暗闇を見て、時々行き交うスピーダーを見ていた。

 荷物を取り、僕は立ち上がりオールドに声を書けた。

「フォースと共にあれ」

 オールドは振り向くことなく右手を上げ僕に答えてくれた。

 建物を出る時にすでに心を決めていた。きっとオールドもそれを気づいていたことだろう。

 僕の行く道はフォースが示してくれた。


【諸宇宙百科事典2000億ABY年代記より抜粋】

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