冬の朝
風が憂鬱を運んできます
肌膚を擘く温度です
私は未だに出られていません
この朝という墓場から
そこに置いてきたものは
無数の骨と頭と心臓
昏い私は愚かです
風が運んでくるものは
季節によらず憂鬱です
殊に冬の朝というものは
素知らぬ顔して人を殺めます
砂浜に描いた絵が満ち潮で白紙に戻されるように
降り積る雪は隠蔽したがる
いずれは融けて現す体軀は
其の場凌ぎの出鱈目のよう
私は冬が好きでした
冬が夏を殺そうとするまでは
昏い私は愚かです
風が運んでくるものは
季節によらず憂鬱です
冬の朝