冬の朝

風が憂鬱を運んできます

肌膚を擘く温度です

私は未だに出られていません

この朝という墓場から

そこに置いてきたものは

無数の骨と頭と心臓

昏い私は愚かです

風が運んでくるものは

季節によらず憂鬱です

殊に冬の朝というものは

素知らぬ顔して人を殺めます

砂浜に描いた絵が満ち潮で白紙に戻されるように

降り積る雪は隠蔽したがる

いずれは融けて現す体軀は

其の場凌ぎの出鱈目のよう

私は冬が好きでした

冬が夏を殺そうとするまでは

昏い私は愚かです

風が運んでくるものは

季節によらず憂鬱です

冬の朝

冬の朝

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-22

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