潰れた雑貨店

白く塗り潰された看板

うっすらと浮かぶ店の名前

誰一人目もくれずただ過ぎ去る

今の今まで気に留めたことのなかったその店

確かにそこに存在していた

棚を運び出す作業員

軽トラックの荷台

無造作に積まれた小さな夢がまた1つ散っていく

それを時代のせいだと憐れむ私もまた

時代の偽善に育まれた人間だと知る

白く塗り潰された看板

うっすらと浮かぶ夢の名前

それはどこにでもある

当たり前の風景

それは誰でも知ってる

瑣末な風景

潰れた雑貨店

潰れた雑貨店

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-20

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