腸不調

MK3

腸不調

 ここ数日、腸の調子が悪くてかなわない。
 
 ここ数年、確かにトイレで苦労してはきたが、
それにしたって、ここ3日ばかり特にひどい。
 起床に就寝は同じ時間帯で、3食欠かさず間食控え、
1日のリズムを一定に保つよう、心がけてはいるのだが。
 
 夜になると、夕飯を食べ終えると決まって便意を催す。
それも自室に戻り、しばらく経ってから。
 トイレは1階、部屋は2階。
 1秒でも早く辿り着きたくて、
電気を付けず暗いままの階段を、長年の勘を頼りに駆け降りる。

 お腹が痛いわけではない。その点は安心。
 ただ、いざ用を足そうとすると、これがなかなかスムーズにいかない。
 便座に腰かけ、まず体を九の字に折り曲げる。
この体勢をキープし、踏ん張り続ける。
 一度など力を入れ過ぎ、左肩を脱臼しかけた。あれは怖かった。

 繰り返しになるが腹痛はなく、
鈍さが体の中心に鎮座したまま動かない。
 これがなんとも心地悪く参ってしまう。

 実家に住まう身として、長居はできない。
 家族に心配をかけてしまっているから。
 加えて、身を案じる家族が自身の立て籠もり中、
もしも用を足したくなってしまったらと、
今度は自分が家族の身を心配してしまうため。
 心配性ゆえ生じる負のループに、ほとほと滅入る。

 九の字で進まない場合は、一度体躯を起こし直角となり、
そこから両手を強く上に上げ、まっすぐ伸びをする。
 これが意外と効果的で、しばらくすると兆しが見え始める。
音が鳴ったり腹の重さの質が変わったり。
 そこで機を逃ずトランスフォーム、来る時を再び待ち続ける。
 この時点である程度ことは進む。が、終わりは見えてこない。
 時間ばかりが過ぎ、在室20分なんてざらだ。

 ふと腹に手を当ててみる。温かい。
 次は腰。すると冷たい。
外出から帰ってきたばかりの母の手くらい、冷たい。
 そのまま手を降ろし、臀部に触れてみる。
すると腰以上に冷え冷えしている。
 前に後ろ表と裏、まるで別人の体のよう。
リゾート地と豪雪地くらいの寒暖差がある。

 季節はもう冬。
築40年以上の我が家は隙間も多く、底冷えがひどい。
 部屋の中ではおはようからおやすみまで、ファンヒーターフル稼働。
 電気を使い灯油も食う金食い虫だが、これなしでは越冬不可能。
 設定温度を高く保ち、部屋全体を暖めつつ、
肝心の体が冷えることなきよう、なるべく温風が当たるよう身へ寄せる。
 これだけ工夫を重ねても、それでも尻は冷え切っている。

 この有様だから、月に一度町医者に通っては、
漢方と錠剤を処方してもらっている。
 先生は腸の名医。上半身に加え毎度、下半身を触診していただく。
 特に大病の予兆は見当たらないようで、
強めに腹を押されても自身、痛みを感じたためしがない。
「なるべく体を動かすようにしてください」
 先生からのアドバイス、確かに身近で手軽、最善策だ。

 最近は改善を試みるべく、なるべく歩くよう外出時意識している。
 週に一度のお楽しみ、行きつけの店まで飲みに出向く際、
以前よりも遠い場所で、車から降ろしてもらうようにした。
 送迎を担当してくれる母としても、
帰宅時間が短縮するため都合がよい。
 行きの高揚感に心躍らせ帰りは充実感に浸りながら、
合流地点を行き来する、たまに千鳥足になりながら。

 長年の運動不足を解消するには、
徒歩の効果を実感するまでには、まだ時間がかかる。
 悪くなるのはあっという間だが、
良くなるまでの道のりは遠く険しいもの。
 地道にコツコツ体質改善を目指そう。

 と書いている矢先の信号発信!
 いかなきゃ、あの場所へ。負けられない戦いがそこにある。

腸不調

腸不調

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-19

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