黄金の虫

らっきょ太郎

 公園で白い像が燃やされていた。幾つもあって乱雑に投げ捨てられていた。それらは塩で出来ていた。
 私は黒い煙を吸い込んでしまい咳をした。すると、像を燃やしている数人の兵隊さんがこ私に気づき、怖い目で見ていた。私は兵隊さんから視線を反らして走った。小学校に向かって。
 私は教室に入って席に座る。ランドセルは机の横に掛けた。友だちはまだ来ていない。クラスメイトは半分くらい居なかった。私は机から図書館から借りた絵本を出して読んだ。本のタイトルは『雪の女王』。担任の先生がオススメだよって言ってた。
 チャイムが鳴る。何時もなら担任の先生がすぐに入ってくるけど中々やって来ない。すると副担任の先生が入ってきた。副担任の先生は悲しそうな顔で「姫路先生は塩になりました」と言った。それから「今日は代わりに私が授業を行います」と言った。
 誰も返事はしなかった。もうみんな慣れいていた。人が塩になることには。
 給食の時間になっても友だちは登校しない。多分。塩になったんだ。友だちは昨日、黄金の虫を拾っていた。私は捨てた方が良いよって言ったけど。友だちは「大丈夫だよこれくらい。それに見て、とても綺麗よ」って話して指で摘んで太陽にかざしていた。
 私のお母さんもお姉ちゃんも黄金の虫を見つけて隠していた。隣の家のおばさんも隠していた。交番の警察官のお兄さんも隠していた。みんな塩になった。

 或る時、一人の青年が街にやって来て言ったの。黄金の虫を見つけたら捨てなさい。それから遠い街へ引っ越しなさい。って。でも殆どの人は聞かなかった。笑ってバカにした。
 私は窓の外の風景を見る。今日は天気が良かった。でも太陽は暗くなり星が落ちて、地面が裂けた。

黄金の虫

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