カタツムリの涙

カタツムリの涙

ゆっくりと、ゆっくりと……



ゆっくりとゆっくりと、
時と一緒に歩いてきた。

立ち停まる時は、
いつもの雨宿りの中。

決して悲しい色だから、
もらい泣きして停まる訳じゃない。

前が見えず進めないから、
無理せずゆっくりココまで来た。

ぼくの足取りには跡がある、
ちょっとやそっとじゃ消えやしない。

虹と一緒に輝く跡、
それはきっと嬉しかった昔だろう。

途切れ途切れな跡もある、
それは迷い悩んだ時だろう。

歩き続けて死んだ時、
背中の殻が墓石になる。

やがて次の仲間に託す時、
足取りはまた仲間が繋ぐ。

こうして生きれば良いのにと、
人間たちを見ていつも思う。

足跡はやがて天に昇り、
空に浮かんだ雲になる。

たくさん仲間が死んだ後、
大雨になって川となる。

雨が降り悲しむ人間と、
川を見て懐かしむぼくたち。

みんなの涙も流れてゆく、
辿り着くのは大きな海。

海の中にも仲間がいる、
アメフラシ、
そう呼ばれている……

カタツムリの涙

カタツムリの涙

人間たちもカタツムリの様に……

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-18

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