傘と悒欝と警報

渡逢 遥

電車の 内臓 抉ったら

びっこを ひいて よろめいた

見知らぬ 道草 毟ったら

憔悴の 果てに 血ィ吐いた

おれは ひたすら ひたすら 泳ぐ

手探り 手掴み おれは漁師だ

朝と 昼とを 知らない 漁師だ!

嗟 そこに 一艘の

舟か 筏か? 浮かんでいらあ!

おまえは 無知だ 無知の限りだ

おれとは ちがう ところがあるな

おれは 夜しか 知らないが

上へと 昇る 快楽(けらく)を 習った!

電車から 降りろ すぐ 今 すぐに

傘を とじろ すぐ ほら 今 すぐに

雨に うたれる 悦びを 知れ

雨と 還れる 愉しさを 知れ

傘を もたない 悦びを 知れ

傘を 差さない 愉しさを 知れ!

総てを その歯で 噛みちぎれ!

傘と悒欝と警報

傘と悒欝と警報

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-17

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