5つの呪文~リトルチムニーの物語~

Shino Nishikawa

5つの呪文~リトルチムニーの物語~

歌姫の秘密の話

5つの呪文~リトルチムニーの物語~
60年前の事です。リリーは黒人の貧困女性で、テントで暮らしていました。リリーには夫と幼い息子がいますが、家族全員HIVという病気でした。
ある日、テレビ局の人が貧困の黒人たちを撮影しに来たので、リリーは嬉しくなり、息子を抱いて微笑みました。
あとで、テレビを見せてもらいましたが、ちっとも綺麗には映っていませんでした。
リリーは泣き、もっと美しくなりたいと思いました。
リリーは努力するようになりましたが、ある日、HIVが原因で命を落としてしまいます。

生まれ変わったリリーは、今度は白人でしたが、もう40才でした。可愛い息子に会いたいと思いましたが、電話番号が分かりません。自分がどこに住んでいたのか、思い出せなかったのです。
でも、40才のリリーには家がありました。優しい主人も、賢い犬もいます。
ぼんやりとした記憶の中で、前の旦那との仲がうまくいっていなかった事を思い出しました。
テレビで、歌手が歌って踊っているのを見て、自分もああなりたいと思うようになりました。
でも、40才のリリーには難しい事です。リリーは、星の女神様にお願いをしました。
「お願いです、私をもっと美しくして、歌と踊りの魔法を授けてください。」

夜、星の女神様が現れて言いました。
『今は歌手になれなくても、あなたが今の自分のままで、輝いて生きていけば、次の人生で必ず、歌と踊りの魔法をあげましょう。』
「ありがとうございます。でも、今回はダメなんですか?」
『そう。世界のステージに立つのは難しい事よ。いくつもの人生を生き抜いて、立てるようになるの。』
「そうだったんだ。わかりました。」
『リリー、人に親切にしなさい。それから、辛い事があった時は、祈る事を忘れないで。
迷った時は、どうすればいいですか?と心の中で、神に聞いてみなさい。』
「神様はいつでも私の事を見ているの?」
『もちろん。でも、それは神様だけじゃない。世界のどこにでも魔法があるの。祈れば、魔法があなたを包むでしょう。
5つの呪文を教えてあげるわ。
助けてください。
守ってください。
導いてください。
幸せにしてください。
させてください。
苦しい時には、どれかを選んで、心の中で唱え続ける事で、あなたのそばに魔法がきてくれるわ。』

その晩、リリーは安心して眠りました。

それからというもの、リリーは頑張って生き、年をとってからも、歌とダンスの練習をしました。そして、77才の誕生日、リリーは22才に若返ったのです。
リリーは、世界的歌姫になりました。


ミーアという黒人女性がいました。ミーアもリリーと同じように、歌手になるために、人生を生き抜いてきていました。
良い歌手になるためには、少しだけ苦しい状況に身を置き、生活をしなければなりません。苦しい状況というのは、家が貧乏とか、汚いという事です。悪すぎるのはよくありません。歌手になれば、自分の歌を、社長やお金持ち、政治家にも聴かせるのです。
新しい家や良い家に住んでいても、困難は降りかかります。その困難に向き合い、我慢するのが良いのです。
ミーアは、ずっと困難に向き合って生きてきました。
母親が麻薬をして、若い男と出かけたりしていたのです。
ミーアがようやく小さなステージに立てた時、とても誇らしい気分でしたが、母さんの事を笑われてしまいました。
ミーアは悔しくて、裏で赤い顔で泣きました。
でも、良い歌手になるには、それは良い薬と同じです。
それが分かった時、ミーアはにっこりと笑いました。
なぜ分かったかというと、ミーアは5つの呪文を使ったからです。

ミーアが有名になってきた時、嘘をつかれて、パブに呼び出されました。
すると、悪い男たちがミーアを囲み、嫌な事を言って、ナイフと銃で脅しました。
すると、ミーアは強い顔で、「あんた達、死にたいの?」と言い返したのです。
ミーアは音楽が流れると、魔法にかかったように歌い、悪い男たちの心を変えてしまったのです。

ミーアやリリーの歌が心に響き、勇気をくれるのは、彼女たちが何度も人生を生き抜き、困難に打ち勝ってきたからです。

いつか、ミーアやリリーのようになるためには、それが分からなければなりません。
ですから、苦しい時は、5つの呪文を繰り返してください。
きっと人生に光を感じられることでしょう。

5つの呪文~リトルチムニーの物語~

5つの呪文~リトルチムニーの物語~

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-12-16

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