息づく詩

渡逢 遥

あなたの中に棲みたい

あなたの怨嗟を根本から刈りたい

わたしは詩になりたいのだ

詩がかきたいのだ

実篤が言っていた

「わたしはひそかに 詩がかきたい

誰にもわからない 詩がかきたい

そしてそっとそれを しまっておきたい。

そして私が死んで 何年も何年もたったあとで

一人の人がそれをよんで そしてそのまま

そっとしまっておくような

そう云うような詩がかきたい。」と。

わたしは詩がかきたい

寄り添うように弔うように

宥めるように慰めるように

かかなくったって 構わないのだ

構わないのだ

わたしは誰かの中に

誰かの一部として

誰かの追憶として

誰かの人生の

足場の一部になれたなら

それでいい

わたしはあなたをしらない

然しわたしは、あなたがすきだろう

屹度、すきだろう

詩人として生きている実感など

依然としてぼんやりしている

わたしはかいている

それでもわたしはかいている

そしてわたしは体液を遺す

そしてわたしは

だれかの詩になりたい

息づく詩

息づく詩

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-15

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted