十八時の詩

 おきぬけ、あさは、きまぐれに、あおい。
 心臓を、みどりのリボンで結ばないで、クリスマスにみたまぼろしが、永久的に、ぼくの視覚をみだして、星、びかびか光る。十八時。
 真珠貝のネックレスと、おんなのひとの横顔がかたどられたブローチ。赤いワンピースに、黒いブーツ。おんなのこが、一瞬、空をとぶとき、街のあかりは、ものがなしげにぬれて、屋上から、だれにも届かないかもしれない、ささやかな祈りをくりかえす。
 せんせい、あの海には、おおむかしに、きっと、モササウルスがいました。
 世の中、だいきらいなものばかりではないけれど、すてきなものがひとつでもおおくうまれたら、うれしいね、といったのは、粒子みたいなからだの、少女。目をこらしてみると、わかる、細やかな粒が無数にあつまってできた、肉体を、少女が撫でると、光の膜ができた。
(だれもしらないうちに、あさと、ひると、よるが、だきあって、とけて、ぐちゃぐちゃになったら、神さまに問いたい、ぼくらの存在価値って?) 

十八時の詩

十八時の詩

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-13

CC BY-NC-ND
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