朝と残り香

渡逢 遥

嘘をつかないと

嘘をつきました

嘘をつきましたと

嘘をつきました

嘘じゃないよと

嘘をつきました

嘘みたいだねと

嘘をつきました

嘘は時に綺麗でした

真実よりも綺麗でした

真実よりも真実らしく

人間よりも人間らしく

わたしに夜のかなしみと

約束の脆さ儚さと

体温をおしえてくれました

嘘はわたしの分身でした

みえない双子の話し相手でした

それだけは決して嘘では

嘘ではありませんでした

朝と残り香

朝と残り香

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-13

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