雨のあと

雨のあと

決して消えて無くならない……


寒くなった日の雨のあとには、
言葉がたくさん地に残る。

一言では言い尽くせない、
たくさんの人が置いてった。

見つけた人の目に写るその言葉は、
それぞれの意味がある。

置いてった人には不要の言葉も、
目にした人には必要なもの。

老若男女は思い起こされ、
忘れていた言葉を目の当たりにする。

一人ぼっちを忘れるくらい、
みんなの顔が浮かんでくる。

ぼくも今はその一人、
誰かの言葉を拾い上げる。

冷たい地面に光ってる、
"ありがとう"と言う
その言葉だけを。

強い北風に飛ばされること無く、
誰かのために置いてある。

忘れていた感謝の気持ちは、
ぼくの冷えた気持ちを温めた。

寒くなった日の雨のあとには、
言葉がたくさん地に残る。

そこには、
忘れてはいけない言葉がある……

雨のあと

雨のあと

言葉だらけの雨のあとに。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-12

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