雨のあと
決して消えて無くならない……
寒くなった日の雨のあとには、
言葉がたくさん地に残る。
一言では言い尽くせない、
たくさんの人が置いてった。
見つけた人の目に写るその言葉は、
それぞれの意味がある。
置いてった人には不要の言葉も、
目にした人には必要なもの。
老若男女は思い起こされ、
忘れていた言葉を目の当たりにする。
一人ぼっちを忘れるくらい、
みんなの顔が浮かんでくる。
ぼくも今はその一人、
誰かの言葉を拾い上げる。
冷たい地面に光ってる、
"ありがとう"と言う
その言葉だけを。
強い北風に飛ばされること無く、
誰かのために置いてある。
忘れていた感謝の気持ちは、
ぼくの冷えた気持ちを温めた。
寒くなった日の雨のあとには、
言葉がたくさん地に残る。
そこには、
忘れてはいけない言葉がある……
雨のあと