【超短編小説】天気雨

六井 象

 日曜。夕方。天気雨が降っている。墓地。若夫婦がいる。傘もささずに。二人の前には小さな墓石。夫、墓石を持ち上げ、たかいたかいする。妻、墓石を受け取りだっこする。かわりばんこに。かすかに聞こえてくる赤ん坊の笑い声。若夫婦。小さな墓石。夫、たかいたかいする。妻、だっこする。かわりばんこに。はっきり聞こえてくる赤ん坊の笑い声。若夫婦。笑いながら泣いている。小さな墓石。夫、たかいたかいする。妻、だっこする。かわりばんこに。もはや耳をつんざくような赤ん坊の笑い声。それをかき消すかのように、いよいよ激しく降る雨。ますます強くなる陽光。天気雨。永遠。

【超短編小説】天気雨

【超短編小説】天気雨

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-11

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