【超短編小説】山道

六井 象

 山道を登っていた。向こうから日に焼けた少年たちが歩いてきた。少年の一人は肩に虫捕り網をかついでいた。「あんなに抵抗するとは思わなかったな」「でもあれだけ弱ってれば明日こそは捕まえられるはずだよ」「そうだな」すれ違う時、少年たちはそんなことを話していた。振り返って見ると、少年の虫捕り網には、鱗粉と血のようなものがべったりくっついていた。少年たちの姿が見えなくなり、山道はしんとした。しんとしたせいで、山の空気がざわめいているのが伝わってきた。何かが怒っている。早々にこの山を立ち去ることにした。

【超短編小説】山道

【超短編小説】山道

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-10

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