天空病棟

憶い出したくも無い言葉の軍勢が

残酷な程に凍てついた夜風に身を潜め

両耳の至近を敏捷性を以て掠めていく

信号三色、凡てが血色にしか見得ない

おれのあたまあ、狂っちまった

瘡蓋のようなこの懊悩はこうも肥大するものなのか

無視していれあいい腫れを無視もできずに触り続けて赤みの工合がより深刻になるあの現象のようにな

まったく酷い奴だよ、風ってやつあ

なんだって、こうもおれを狂わしめる

偶にゃあ労苦も懶惰も殴り潰して

壺中の天くれえに酔わせてくれんかねえ

なあ、どうだい、名も知らない星よ、おまえあ、一体、どう思うんだ?

私は既に天の故、酔っているのが素面(シラフ)だと?

ハハハ、ハハハ、こいつあ面白え、おれあ、おまえのこと気に入ったよ、風流人だ

こうして観るとおまえの顔は結構な容貌なんだなあ

あなた、まったく酔い過ぎだって?

ハハハ、おれあ素面だよ。

天空病棟

天空病棟

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-06

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