花になる

あおい はる

 りかしつは、はなのなえどこ。

 わたしたちがいつか、人形になったときのことを、想像しています。せんせい、というなまえの、いきものたちが、絶対的な存在だった頃の、星は、あたりまえですが、まるかったです。いや、星は、まるくてあたりまえ、とは限らないと、わたしたちは学んでいても、なお、星は、まるいのがあたりまえ、だと思っている節がありました。街が、冷凍庫みたいになったとき、せんせいは、決して絶対的な存在ではないとさとったように、星がまるいとは限らないとわかる日は、くるのでしょうか。公園の池にいた白鳥が、みんな黒鳥になって飛んでった、赤い夕方。
 うしなわれたものをさがしもとめることほど、むなしいことはないと思います。
「どこにもないものを、にんげん、というものは、みつけたがるよな」
 そう言ったのは、となりのクラスの、自称うちゅうじんの、おとこのこでした。なんせ、うちゅうじん、故、ほんとうにおとこのこなのかどうかも、不明でしたが、男子の制服を、おとこのこは着ていました。でも、これって、制服で性別を、きめつけてる感じがして、星はまるいまるくない的ものと、やや合致しているかも、などと勝手にかんがえて、よくわからないことに、なっていました。
 人形には、なりたくないです。
 花の養分には、すこしだけ、なってもいいです。
 冷凍庫みたいな街を、窓から眺めたとき、わたしは、お花屋さんで売られている、ガラスケースのなかの、つめたい花になった気分を、あじわいます。自称うちゅうじんの、おとこのこが、コールドスリープをしているみたいと言って、ときおり、わたしに、キスをします。どこにもないものをみつけたがるから、にんげんは、愛しいのだと思います。

花になる

花になる

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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CC BY-NC-ND
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