冬と嘘

渡逢 遥

冬です冬です、冬ですね

まことしやかな冬だこと

たちのわるう事無上です

たちのわるう事無上です

冬です冬です、冬ですねなんて

感ぜられたら此れ僥倖?

人様悉皆、騙されてゐます

騙されてゐて、うらがなしいのよ...

漉いて御顔に御貼付してゐた

愛想がいまにも剥がれさう

嗚呼、安息の地はいづくにか

嗚呼、安寧の日はいづくにか

冬に蒔きました逢瀬の種は

来たる春にはだうなつてるやら

あら、わたくしったら迂闊

暖冬じゃあなければよいのですけれど

そんならわたくしここらで永訣

よるべもなき神、薄倖児

天のほとりで詠います

冬です冬です、冬ですね

まことしやかな冬だこと

たちのわるう事無上です

たちのわるう事無上です

冬と嘘

冬と嘘

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-12-03

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted