林檎が落ちたよ

君に何も伝えられなくて
唇を染めたまんま 眩しくて
気にも留めない様な顔で
目を閉じたまんま 微笑んで
弱い風が吹いたよ

その中に 入っていく時に
僅かに温もりに気付くよ
夢見心地で隙間から見えた
君を初めて愛しく思えて
淡い空の中に林檎が落ちたよ

君と何処にも行けなくて
日が暮れたまんま 座ってて
いつも同じ様な放課後で
気怠そうなまんま 目が合って
青い雨が降ったよ

その中に 入っていく時に
照れた温もりに気付くよ
夢見心地で遠くから聞こえた
音は帰りのバスのブレーキ

優しい吐息に溜め息をつき
僅かな別れを告げて
夢見心地で窓越しに見えた街は
人生で一番綺麗で
浅い海の中に林檎が落ちたよ

いつか食べようね
君の隣でゆっくりね

林檎が落ちたよ

林檎が落ちたよ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-12-01

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