ジャイアント・ステップス2
森下巻々
※成人向け・強い性的表現があります。
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官能小説作家を目指しているタロウは、今日も書けない。
椅子に坐っていても、臀の孔(あな)が自然と開いてしまうような感じを覚えている。
「ああ……」
今夜も、快感に負けてしまう。
こらえきれなくなった彼は、全裸になって、ベッドに坐る。今、観たい、DVDソフトウエアは、プレーヤーにセットされたままだった。数日前にも、同じ映像を観たのだ。
リモート・コントローラーのスウイッチを点れて、再生する。有名グラビアアイドルが、壁に掛けられたテレビ・モニターに映された。
数年前の作品だから、演じている彼女は現在では人妻ということらしい。グラビア活動は、ほとんど引退したようなもので、貴重な映像である。
クッションと畳んだ肌布団を壁近くに設える。頭を壁に着けて凭れたいからだ。タロウは、脚をMの字に開き、肌布団を背にする。人にオシメを換えられるみたいに、脚を気持ち高く上げて、より臀が開くようにしてみる。
「はあー」
股間に、中指を中心に手を伸ばしてみると、思った通り、孔近くにしっかりとセットすることができた。指が臀の両の肉に挟まれるような感覚になる。
中心の男根は、もう大きく成り始めている。
テレビ・モニターに、既にスカート・スーツ姿の美女アイドルの映像、臀をこちらに向けていることもあって、タロウは昂ぶってきている。魅惑的な豊臀。
女教師という設定なのかも知れない。髪が長く赤っぽい美女アイドルに、スカート・スーツはよく似合って見える。
今日もタロウは、男根の茎の部分への刺戟をできるだけ後回しにする。とりあえず、会陰部を弄ってみる。つまり、男根と臀の孔の間、玉袋の付け根辺りをである。
指先で、すうすうと掻くようにするだけでも、いい気持ち。
スカートを捲り上げて下着を見せる映像を目にしながら、そうしていると、男根が、どんどん大きくなっていく。
利き手の指を押し擦するようにしてみると、躯の内部を突く感じ、響く感じで、大変気持ちがよい。もう片方の手は、男根をつまむことにする。
美女アイドルは、ヒザ上までにストッキング。ガーターがセクシーさを演出していて、加えて黒色のハイヒールというのが、タロウ好みでもある。
「はあ、はあ、はあー」
声を出してみると、躯が熱くなり、ますます気持ちよさを覚える。臀の孔に大きなものを入れ回し乱雑にしてほしいような感覚。
「はあ、はあー」
美女アイドルが床に坐った。
彼女の顔の正面からのアップ。
「か、可愛い」
やはり、可愛いと思った。美人系の顔でありながらも、可愛いのである。数日前にも、この映像は観ているのだが、何度確認しても、そう思える。
彼女に、自分の臀の孔を見られているように想像している内に映像は進み、彼女はボタンを外し始めた。
前をはだけ、ブラジャーが姿を現わす。
巨乳だ。
谷間が眩しい。
美女アイドルは、それ以上、何か動作する訳ではない。カメラを、つまりこちらを見詰めているだけだ。
しかし、タロウは妙に昂奮して、
「ああ、ああ、ああー」
臀の孔辺りが大変気持よくなって、中指を中心に押し擦する刺戟に、異常に躯が反応しているのが自身で分かるくらい。
すると、くびくびくびと、Mの字にした脚の内部が震えるような感じ。わずかではあるが、足が自然と内側に動いてしまう。
快楽の階段を、これまでよりも、一段高く昇ることができたらしい。
とてもとても気持ちよくて、気づいてみれば、男根の先からは透明な粘液が出ていた。
「はあー……、やっぱり可愛い」
タロウは、続けて、今度は終わりのある快感に向けて、姿勢をあらためる。
四つん這いの姿勢になる。
ティッシュ・ペーパーを下に、敷く。
利き手を後ろに回して、会陰部を探る。
臀の肉に手が挟まれる感じ、逆に言えば、臀に異物が入っているような感じで、この姿勢の方が刺戟はキツいように思われる。
テレビ・モニターでは、場面が変わり、美女アイドルはカジュアルな服装でソファに坐っている。これから、この映像は服を脱いで水着姿になる彼女を映すものへと変わる。
タロウは、まず、孔近くを刺激するつもり、指を動作する。美女に後ろから犯されているかのようで、酷く昂奮する。
気持よく感じる部位は、直ぐに見つかる。焦らず、ゆっくりと押す。大変気持ちよいが、男根は黒ずんで、縮んでいる。
洋服を脱いでいく美女アイドルを眺めながら刺戟している内に、ずるうというような感覚が男根にあり、また透明な粘液が出てきた。
美女アイドルは、ビキニ・スタイルの水着姿を見せた。
彼は、また昂ぶり、今度は空いた手で男根を擦すりながら行為を愉しむ。
「はあ、はあ、はあ、はあー」
男根の感覚は、どこか曖昧であるが勃起してくる。
そして、
「ああ、ああ……」
何度か、くり返される射精感。
実際には、精液は発射されていない。
それでも、シゴいていると、やっと、
「ううう」
ティッシュ・ペーパーの上に、白濁した液が、ぼとりぼとりと落下するのであった。
そんな、彼は、その後も官能小説作家を目指している。
(おわり)
ジャイアント・ステップス2