月もキミもボクも、全部

 ブカブカのジャージ、ツルツルの黒ボブ。
ひとめぼれっぽいならしょーがない
深夜2時にコンビニの外で、真冬の前の冬にガリガリくんを掲げるキミ。
月がぼんやりととおい頭上でとまどってる
それぐらいの存在感
それぐらいの違和感
もちろん、後をつけます。

ぶらぶらと歩くキミ。歩きかたがすごくダラダラしていて、ガリガリくんをかじる。
ゆらゆらと、冷たい風もつめたくなくなるような
そして、電柱に肩がぶつかって
二口ぐらいしか食べてないガリガリくんを落とした。
キミはしゃがみこんで、じーーっとそれをみつめて
、拾った
地面に触れてない部分を大きくかじって
捨てた
細い道路の脇に生えてる草の上に


猫がミャー
って、歩きだしたキミとすこし離れた僕とのあいだに現れて
キミはそれに反応して、振り返った。
こっちに歩いてくる
遠目に、街灯のひかりがうっすらと、キミのボブの毛先の癖を教えた
キミは猫のとこで止まって、猫は逃げなくて
キミは猫を撫でて
僕はキミのとこまで行って、言ったんだ。

「ガリガリくん買ったげようか?」


キミの不思議そうにキョトンとした顔。
猫がミャー
月もキミもボクも、全部。とまどってた、夜

月もキミもボクも、全部

月もキミもボクも、全部

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted