月もキミもボクも、全部
ブカブカのジャージ、ツルツルの黒ボブ。
ひとめぼれっぽいならしょーがない
深夜2時にコンビニの外で、真冬の前の冬にガリガリくんを掲げるキミ。
月がぼんやりととおい頭上でとまどってる
それぐらいの存在感
それぐらいの違和感
もちろん、後をつけます。
ぶらぶらと歩くキミ。歩きかたがすごくダラダラしていて、ガリガリくんをかじる。
ゆらゆらと、冷たい風もつめたくなくなるような
そして、電柱に肩がぶつかって
二口ぐらいしか食べてないガリガリくんを落とした。
キミはしゃがみこんで、じーーっとそれをみつめて
、拾った
地面に触れてない部分を大きくかじって
捨てた
細い道路の脇に生えてる草の上に
猫がミャー
って、歩きだしたキミとすこし離れた僕とのあいだに現れて
キミはそれに反応して、振り返った。
こっちに歩いてくる
遠目に、街灯のひかりがうっすらと、キミのボブの毛先の癖を教えた
キミは猫のとこで止まって、猫は逃げなくて
キミは猫を撫でて
僕はキミのとこまで行って、言ったんだ。
「ガリガリくん買ったげようか?」
キミの不思議そうにキョトンとした顔。
猫がミャー
月もキミもボクも、全部。とまどってた、夜
月もキミもボクも、全部