余命三ヶ月の恋

春が生まれては夏を産み

夏が生まれては春殺め

秋を産んでは夏は往き

冬秋つれて心中す...

嗚呼!おれは秋が好きだ

おまえは三ヶ月もあるか?

ないだろう!決してない

あるものか、あってたまるものか

おまえのことが不憫でならない

夏は秋と同時にやってくるという

だれかの言葉を

わたしは思い出す

秋を産んで夏が往くのではない

秋と夏とは双生の児だ

同時に息を吹き返すのだ

秋は避暑し避難する

兄に触れると死んでしまう故

おれは冬が憎い

おれは雪が憎い

何も言わずに秋を攫って

のうのうと義父を気取っていやがる

あまつさえ此奴は養子を殺したことも

雪に隠して消えるのだ

なに故お前は白いのだ

おまえのせいであと何度

秋が死なねばならぬのか

嗚呼、今年も又

情告げられずに終わりゆく...

余命三ヶ月の恋

余命三ヶ月の恋

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2019-11-28

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted