余命三ヶ月の恋
春が生まれては夏を産み
夏が生まれては春殺め
秋を産んでは夏は往き
冬秋つれて心中す...
嗚呼!おれは秋が好きだ
おまえは三ヶ月もあるか?
ないだろう!決してない
あるものか、あってたまるものか
おまえのことが不憫でならない
夏は秋と同時にやってくるという
だれかの言葉を
わたしは思い出す
秋を産んで夏が往くのではない
秋と夏とは双生の児だ
同時に息を吹き返すのだ
秋は避暑し避難する
兄に触れると死んでしまう故
おれは冬が憎い
おれは雪が憎い
何も言わずに秋を攫って
のうのうと義父を気取っていやがる
あまつさえ此奴は養子を殺したことも
雪に隠して消えるのだ
なに故お前は白いのだ
おまえのせいであと何度
秋が死なねばならぬのか
嗚呼、今年も又
情告げられずに終わりゆく...
余命三ヶ月の恋