世界最強ギルド『無限の星』 ~うちのギルド長が本気を出せば世界なんて簡単に滅ぼせます!~
第1話 再びの神
私はふとそこに生まれた…。
そこは私以外誰もいなかった…私には強大な力しか何もなかった。
自分がここに生まれた理由をずっと考えた。どれだけの時間が過ぎていったか…。
誰もいないこの空間で考え抜いた…そして私は思った。
自分と自分の中にある知識や感情と力を組み合わせて私はある物を作った。
そして…私は無になった。
ここは海のど真ん中。
そこには多くの何かの影がある。
その影はある大陸に向かって移動していた。
その影の正体は…魔王軍。
魔王軍というのはこの世で最も残虐極まりない軍隊のこと…軍を操るのは勿論のこと魔王だ。
この世界の魔王は数人確認されていて、その中で頂点に立つのが大魔王と言われた。
そして、それは止まることもなく海を渡り、地を踏み、進んでいる。
その足音はまるで行進のようにまとまっているが、それが聞こえたら終わりと人々には伝われていた。
最近では神々に倒された魔王が復活したと噂されているが、そのことに関して神々は何とも思っていないとは…嘘になるが…。
神々の中に確実に死ぬ所を見た…。という証言もあるが、そんなのは役に立たないだろう。
今、問題なのは、再び魔王が世界を支配しようとしていることだ…。
まったく懲りない奴らだよ…。神々の頭に思い浮かぶのも目に見えている。
だが、そのせいで世界の半分が支配され、神々が破れる所までいったこともあった…。
だから、油断してはならない敵なのだ…。被害は必ずしもゼロとは言えないのだから…。
ここは、ウォーシンク大陸南の防壁。
嵐の時に波が高くその先の国や町に被害が起きたというわけで設置された砂浜にそびえ立つ壁…。
防壁の前には多くの騎士が水平線の一点だけを見つめていた。
その目には明らかに恐怖の色があった。
その前に魔王軍が現れウォーシンク大陸の半分の騎士達が魔王軍の侵攻を阻止しようとしたが一人も帰ってこなかった。
はっきり言えば、そりゃあそうだ…という反応だ。
実際に、これが今の人間の力だった。
この世界の中で最弱の種族…他より身体能力は低く、地を歩く生物…。
そんな種族に魔王軍は負けるのか…と言われたら、恐らく世界中の者がいやっ…と答えるだろう。
そして最近の魔王軍はどこから現れたのか分からず、時には海や空や突然町に現れることもある。
それがこの世界の魔王の軍勢だった。
つまり、そこにいた者達はこの国のために死に行くようなものだった。
そのことに対して反発する騎士達は多かった…。
だけど、大切な者のためにとほとんどの騎士が今、ここにいる…。
騎士達が向いている方は水平線が見えるだけだったが、向こうの海がだんだんと黒く染まるのが見えた。
あれが魔王軍の影だ…。
「隊長、魔王軍が南側の海に現れました…はぁはぁはぁ…」
防壁の後ろには隊長達のテントがあった。
そこに入った若い騎士は報告をしその場に膝をついた。
するとその場は一瞬にして凍り付き絶望の表情を浮かべ涙を流し座り込む者もいた。
この状況は、とうとう来てしまったか…とそれは騎士達が死ぬときはもう近いということだ。
もう終わりだ。と諦める者がほとんどだ。
死にたくない。と自分のことしか考えていない者も少なくない…。
そして絶望のあまり、涙を流す者も……。
だがその中でもいや最後まで命を懸けて戦うと…。
勇気のある者は必ずそこにいた…。
立ち絶望に浸っている騎士達の奥で大きな椅子に座っていた騎士長は思った。
俺はただのちっぽけな一人の人間…。
剣術ができるだけ……。
俺にはそれしかないのか…。
もうこの際だから…と諦めるが騎士としての誇りが強かった。
背中に靡く、国の紋章が刻まれたマント…。
それは国を背負っているという証拠だ。
騎士長はその場にいた誰よりも勇敢な者の頭に浮かび上がっていた。
心に決めた騎士長は他の者にはない恐怖に立ち向かう表情をしていた。
これが、国を背負う騎士長の姿…そして死を恐れず進む人間の目…。
この目は人間にしかない目…無数の種族の中で最弱の人間に与えられた、最も深きもの…心…。
他の種族より明確に存在する感情…喜び、悲しみ、怒りの無数の感情を持ち、恐怖心を抱えたり、悔しさや、その感情に対する結果もある…それはとても美しいもの…人間一人一人に存在する…。
生まれた時から自分の中にそれに任せることもいいが、自分でそれをコントロールし、人間は進んで行く…。
それを理解した騎士長は立ち上がり、大きく息を吸った。
そして全ての騎士に告げた。
「今!我々は絶望に満ちている…だが、それでも我々はこのウォーシンク国の騎士として最後まで戦うのだ。たとえどんなに敵わない相手でも騎士の誇りを懸けて魔王軍と戦うと…俺は今まで背負ってきた国のために、そして自分の心とともに…最後まで!戦う!」騎士長は涙をこらえ、鞘から剣を抜き柄を握りしめていた。
そして騎士長は続けた。
「この国のために友人のために家族や大切な人のために…俺達は魔王軍をこの国に一切入れないことだ!…それが今俺達にできることだ」後ろに刻まれた国のマントが彼らの騎士の誇りを象徴していた。
その言葉に騎士の全員は国と心に誓い恐怖に立ち向かうと決めた。
そして全ての騎士が流れるように剣を抜き、魔王軍へ目をやった。
そこにはもう顔を出していた。
それに臆することなく、騎士達は恐怖と決めた誓った思いを乗せて大声を上げた。
「オォォォォッーやってやるぜー」
騎士の誇りを持つ者達が歓声という叫び声をあげ、その場にいた大勢の騎士は剣を構え魔王軍に立ち向かった。
この暗く息もできないこの絶望の中で俺達は国のため人のため自分のため大切な人のために戦うことを決めた…。
そして魔王軍が海から完全に体を出した。
「魔王軍を陸に上げるなぁぁぁ」と声が響きたり騎士たちは魔王軍に向かって走り、剣を向け魔王軍は立ち向かう兵士に魔法陣を向けて魔法を放った。
これが人間なんだと魔王軍にわからせるために…。
騎士達は魔法を交わし魔王軍へ少しでも近づこうとした。
剣で魔王軍を斬り刻むために……。
だが…結果はわかっていた。
立ち向かった兵士も国も…すべて……そう、すべて…。
ウォーシンク大陸の南防壁では騎士と魔王軍の戦いはしばらく続いた。
そして、数時間後。
防壁の先にある国は跡形もなくなってしまった。
立ち向かった騎士達は次々と灰になり、国では人々が無残に血を流し倒れていった。
魔王軍はただ自分達の誇りで止めることなく進み、後に残ったのは血で赤く染まった死の道だった。
生き残った者は当然いなかった。
もちろんその国の王も…。
一つだけわかったことは…今回の魔王軍二十万の軍勢だったことと謎の幹部が裏で操っていたことが世界最大国家光の国エレクシア領域首都、エレクシアへと情報がわたった。
ここはウォーシンク大陸中央の一番大きい国…。
そこには魔王軍の侵入を聞いて、光の国からやってきた聖騎士と破壊の国からやってきた暗黒騎士の総勢20万人が中央国の前で魔王軍を待ち構えていた。
聖騎士は黄金の鎧と兜を身にまとっていた。反対に暗黒騎士は黒い鎧と兜を身にまとっていた。
世界最大国家で光の神が住まうエレクシア領域はまさに光の国だった。
この世界には6つの領域が存在するが、光の国エレクシア領域と同盟を結ぶ、世界最大領域・翠色の大地シズゼリア領域、炎の要塞ファイテンラスク領域、水源の都市ソルレンテ領域の第四領域同盟を結び、貿易なども通っている。
何が言いたいかと言うと、領域外の国ははっきり言えば、危険なのだ。
このように領域外の国は魔王軍の標的となる可能性が高い。
領域内だったらその可能性は少ない…。
そして暗黒騎士は破壊の国からやってきたと言ったが、破壊の国というのは世界で最強で危ないとされている場所の一つだ。
その領域は6つの神の中で最強の神と呼ばれる…破壊の神は住まう場所となる。
今回、魔王軍が現れ、緊急で光の神が収集した…。
そんな大勢の騎士の前に絶対に騎士の風格はなく、見た目は子供の長い黒髪の少女がいた。
「以外と進む速さは遅いんだな」と水晶を片手にぼそぼそと呟いている。
そう言ってその少女は望遠鏡を手に持ち、地平線を向き、覗いて南の方向を見ている。
髪は長く腰まであり背が低くく黒いワンピースを着ている。
少女が見ている方にはまだ何も変わらない風景があった。
すると「レイム様~魔王軍は何も変わらずこの国へ向かっています」と誰かが少女に声をかけた。
その少女に話しかけたのは見た目はぬいぐるみでレイムの家系につかえている犬の妖精…自称…。
この見た目が黒で統一されている少女が新時代5代目破壊の神レイム・レギレス。
まぁ、一言で言うと神様です。
今はこの大陸に魔王軍が出現したということで光の神ラウル様とこの国へ来た。
いいや…半分無理やり連れて来られた。
「ありがとうロナ…じゃあ来るまで待つとしようかな」と見た目だけだと思っていたが、レイムはまだまだ子供だった。
そんな子供に何故、暗黒騎士は仕えているのかと言うとそれは…いいや、これはあとでだ。
レイムは背伸びをし椅子に腰かけ目を閉じ、寝てしまった。
そして…数時間後。
南の方向から異様な気配とぞろぞろと歩く足音が聞こえた。
騎士達もそれを感じ、騒ぎ始めた。
そして凄まじい魔力を感じレイムは目を覚ました。
「やっと起きたのか。待つ間に寝るとは、レイム、お前は緊張感というものがないのか」とすぐ横でレイムには聞き覚えがある声が響いた。
寝起きのレイムはそれが耳に入らなかったが素早く立ち上がった。
その男は聖騎士同様、黄金の鎧を身につけていた。
「ラウル様、申し訳ない…です」レイムは敬礼をし寝ぼけながら謝った。
レイムとラウルの後ろには聖騎士と暗黒騎士達が剣を抜いていた。
もう戦いは近い…。
ラウルはあきれた顔をし魔王軍を見た。
「あの数は少し厄介だな…」
少し困った表情をラウルは浮かべた。
前を見るとその先には魔王軍が突然侵攻をやめ、こちらを睨みつけていた。
それは獲物を殺すことしか考えていない者達の目だった。
それを見てレイムの目の色が変わった。
「ラウル様、魔王軍が侵攻を停止しました」聖騎士の一人が報告をし後ろへ下がった。
「あぁ、やはり我々が目的というわけか」とその言葉にレイムはうなずいた。
それは単純だった。
魔王軍が現れると聖騎士か何人かの神が魔王軍の前へ来る…つまり魔王軍の狙いは我々、神だということだ。
だが、それは今回が初めてではなかった…。
いつでも魔王は神々を狙ってきた。今回はただ誘い方が違っただけのこと…。
そしてそのことについて前からわかっていたレイムは完全に戦闘態勢に入った。
レイムは裸足のまま少し歩いた。
それは今にも倒れそうだった。
今、現状まだ足がおぼつかなかった。
そして魔王軍と聖騎士、暗黒騎士の真ん中くらいまで行き、そして手を前に出した。
その光景をラウルは腕を組み、それを見守っている。
すると手を前に出した、レイムの周りから黒い煙が現れた。
それはどんどん多くなっていき手を筒状に形作ると黒い煙が剣の形になっていった。
するとレイムの手には黒く細い剣が現れた。
これがレイムの武器…。
「我が力を形に…破壊(ディスラクシェント)の剣(ソード)」
そしてレイムは鋭い目つきを魔王軍に向けて剣先を肩の高さまで上げた。
「いくよ!」レイムは目を細くし遠くを見た。
そして戦闘が開始された。
その瞬間、レイムの目の前には無数の黒い魔法陣が現れた。
その魔法陣は壁のように一つ一つ一面に現れすべてが魔王軍に向いた。
普通魔法陣の数はその個体の力で数が変わるが、神とその同等の力を持つ者達は無数に展開が可能だ。
それプラス破壊の力がその無数の魔法陣から放たれるとなるとどんな敵でも傷を負い、下位の存在は消滅するだろう。
その光景に当たり前に驚いた騎士達は「なっ、なんて力だ…」と騒めいていた。
だが魔王軍は何も反応を示さなかった。
何か作戦があるのか…とレイムは魔王軍の動きに疑問を覚えた。
だが、あの魔王軍はいつもと違うと言うか、何かが足りなかった。
それは、ラウルも目にした時思っていた。
あの魔王軍は何かがおかしい…。
そしてレイムは剣に力を込めた。
「破壊の力よ全てを貫け!」とレイムが叫ぶと、展開した全ての魔法陣が黒く光り出した。
そしてその瞬間黒い光線が魔王軍に向けて放たれた。
ズドーンという音も衝撃も凄かった。
そして魔王軍を射抜いた瞬間、大爆発が起こった。
その衝撃波はここまで届き凄い突風に襲われた。
「さずがだな。レイム」その光景を見た光の神ラウルはそう呟いた。
これが、破壊の神の力…あの光線に触れた者はほとんどが塵も残らない。
魔王軍を見ると跡形もなく前の数百人は消滅した。
まだまだ、戦闘経験が薄いレイムは魔王軍との距離を少し誤った。
だがこんなことで終わらないと思うが何か、いやな予感が2人の神に走った。
すると衝撃波がやみ、魔王軍の中から一人の男が現れた。
黒いローブを纏い、その男はひとさし指を下にむけた。
その瞬間、地面が盛り上がり魔王軍が見えないくらいの高さまで地形が変化した。
この力は史上最強級の力…。
この世界の強さは…一番下のランクB弱者級Lv.1~は一般人や騎士などや下位種族の領域…設定された種族は人間種、ドワーフ種、人魚種、獣人種だ。
ランクA強者級Lv.50~は腕のいい冒険者や魔法の使える者で大抵の魔法は使用できる中位種族の領域…設定された種族は妖精種、エルフ種、悪魔種、魔人種、精霊種、幻人種だ。
ランクS最強級Lv.100~は上位種族や勇者がたどり着ける領域…設定された種族は天使種、ドラゴン種、機人種だ。
ランクSS史上最強級Lv.500~は神や魔王の使いの領域で神や魔王の加護を受けた者がたどり着ける領域だ。設定された種族はなし。
ランクSSS天災級Lv.700~は全人類の中で数人しかいない者達で、死の神が創設した世界七神皇帝はほとんどが天災級の強さの持ち主でその世界七神皇帝に入る条件が生まれた時からこの地にいると言うことが条件だ…これは、神を入れてしまうと強さのバランスに支障をきたすからである。
そしてランクZ世界最強級Lv.999は今だ誰も到達することがない領域で、これにたどり着けた者は神や魔王など相手にはならず、この世界の唯一神となるだろう。
「うおっ!あっちにもすごい奴がいるようだな。多分そいつが幹部に違いない」ラウルは何気に楽しそうだった。
これが強者だけができる感覚なのだ。
あいつが魔王軍の複数いる幹部の中の一人だ。
見た目は普通の男…持っているのは一本の剣だけか…。
この時、レイムは相手を完全に舐めていた。
レイムは再び剣を前に向け無数の魔法陣を展開させた。
「破壊の力よ全てを貫け!」
あれが…魔王の幹部…。
レイムもその力が幹部の者だと思っていた。
魔法陣から放たれた黒い光線は変化した地形を砕いたが、砕いた地が不思議な力でもとに戻った。
砕いたが明らかに力が継続している。
「無理のようだな。この地形では騎士達は戦えない。私達でやるしかない」とラウルは言ったが、こう見えてのレイムは好戦的であきらめが悪い…。
だったらこの地形の利用して…。
いつの間にかレイムは変形した地形の上にいた。足を置く面積は限りなく少なかった。
魔王軍はまだ動きがない…今のうちにとレイムは3度目の無数の魔法陣を展開させた。
今のレイムは魔法陣を展開しているため動けなかった。
その時「レイムゥゥゥっ!避けろぉぉぉっ!」とラウルの声が響き渡った。
その声が耳に入った瞬間、レイムの目の前にはあの男がいた。
そして男の格好は驚くことに剣を抜き横斬りしたあとだった。
なっ…なんであの男が…早すぎる。
いくら何でも…そんなことって……。
その男が動く所を一度も見なかったが、もの凄い速さで動いたことによりあとから風が吹いた。
「がはっ…」レイムは口から血を吐いた。
これは痛み…血が出ている。
下を見るとお腹の辺りから血が出ている…。
私を斬った?。
自分の体をよく見ると下半身が切り離されていた。
そんな体を一振りで斬るなんて…。
神の体は個体によってだが、簡単に斬れるものではない…。
お前は一体…。
その男は剣を振り血を掃い鞘に剣を修めた。
そしてレイムは変化した地形の間へと落ちてゆく。
「お…ま…え…は……」
だんだんとレイムの視界が狭まっていった。
「レイムゥゥゥッ!」ラウルは叫んだ。
そんな、一振りで斬るなんて…あいつは一体…。
そんなことよりレイムを…いやここは魔王軍を何とかしなくてわ。
ラウルは黄金の鞘から黄金の剣を抜き魔法陣を展開した。
「聖なる光よ。悪を貫け!」
するとあの男に向けて光の光線を放った。
だが男は避け、剣を抜きこっちへ向かってきた。
「来い相手になってやる」
ラウルは剣に光の力を込め剣身に光の三本の輪が現れ剣が光り出した。
その剣は輝きまさに聖剣だった。
男は両手で剣を握り縦に大きく振り下ろした。
ラウルは両手で頭のすぐ上に構えた。
カーンと金属音が響き、2つの剣がぶつかり合い火花が散った。
「うぉぉぉぁぁっ」男は全体重を両手にかけた。その表情は憎しみと怒りが混ざっていた。
「くっ」ラウルは男の剣を跳ね返した。
そして右手で剣を持ち男の腹を切り刻んだ。だが傷は浅く男は距離を取りすぐに両手で思いっきり剣を振り斬撃をくりだした。
くそっ…浅かったか…。
あれほどの力に、その身体能力…。
そして剣を交えてわかる……貴様は……。
ラウルは剣に力を込め両手で縦に振り下ろし斬撃を消した。
そして片手で左から右に大きく振り光の斬撃を繰り出した。男はそれをジャンプで避けたがラウルは男の下に魔法陣を出現させ光の光線を放ち男に命中した。その攻撃が効いたのか男は少しよろける行動を見せた。
そして剣先をラウルに向け地面を蹴り走ってきた。
するとラウルも走り右肩に剣を置いた。男の方を見ると妙な違和感を感じた…。
生きてるよな…生物だよな、一体何者なんだ。とさっきまでとは別人だった。
「てぁっ」キーンとまた金属音が響き、二人の剣がぶつかり合った。
そしてラウルとその男は剣を合わせながらにらみ合っていた。
こいつは一体…まさか……。
そして変形した地形の間に落ち、地の底ではレイムの意識がなくなりだんだん別人へと変わっていった。
ここは…くそ何も見えない。
私は落ちて…下半身の感覚がない。
私は…何を…なんでここに…。
周りは暗く、ごつごつとした感じだ。
レイムは立ち上がろうとしたが足の感覚がなく下を見ると下半身がなかった。
そうだ。私はあの男に…。
レイムの目から涙がこぼれた。
くそ…。それは悔しさと怒り…。
「くそぉぉぉ…あいつぅぅぅぅ」
レイムは唸るようにこぼした。
するとどこから不気味な声が聞こえてきた。
「お前は最強の神、こんな所で死ぬのか」
レイムは辺りを見渡したが人影はなく反射的にその質問に答えた。
「嫌だこんな所で…」涙を流し苦しくそう答え、また声が聞こえた。
「ではお前に力を与えよう。我の力を…」
「はっ…」するとレイムに邪悪な力が注ぎこまれた。
「この強大な力であの者を殺せ」と囁いた。
そしてレイムの周りに黒い煙が集まっていき全身を包み込んだ。
その黒い煙はレイムの体の傷をどんどん治っていき、消えた下半身も元に戻った。
そうこの力はとてつもない再生能力を誇るこの力だった。
まるで力そのものが自分の中に入っていくように…。
この…力で…あ…い…つ…を…。
「殺す」歯を食いしばり身を起こした。
レイムはゆっくりと立ち上がりその表情は怒りへと変わり理性はなくなってしまった。
「破壊の力よ。我に力を…」と言うと、周りの黒い煙がどんどん濃くなっていき渦をまいた。
破壊の力はレイムの思いを形にした。
すると背中から黒い翼が生え、腰から4本の黒い鎖が生え背後に黒い輪が4つ現れ、黒い鎖と輪が一つ一つ繋がった。
そして…すべて黒くなっていた。
それはまるで破壊の神の本当の姿でもある漆黒のドラゴンのようにも見えた。
「あはっ」レイムは不気味ににやけた。
殺す…殺してやる。
「魔王の幹部の一人…ジン」
レイムはなぜかあの男の名前がわかった。
それも破壊の力なのか…それともあの声か…。
そしてレイムは上を見て初めて翼という器官を動かした。
するとあらゆる力がレイムへ流れ込んできた。
この力で…。
これが新の姿なのかと思わせるくらいだった。
「さあ、行こう…」と言いレイムは静かに飛びだった。
その後には小さな黒い石の欠片が転がっていた。
地上ではラウルがあの男の攻撃を剣で受け止めえていた。
相手は力が強くラウルと互角だった。
くそ、これほどの力を魔王軍が…もうだめだ…。とラウルが目を瞑り諦めかけたその時だった。
地面から黒い光線が飛び出し、同時に凄まじい衝撃波が発生し周りの物は全て吹き飛び中心に大きな穴ができた。
ラウルと男のその衝撃波に飛ばされてしまったが何とかラウルは無事だった。
中心にできた穴から黒い煙が湧き出てきた。それは力が溢れている証拠でもだった。
すると黒い影が穴から出てきた。
「なっ…」ラウルは立ち上がりその影を見ると別人に変わっていたレイムの姿だった。
その姿は神の姿そのものだった。
「なんだあれは…」
全身黒く染まり黒い翼と4つの輪がラウルには初めてみるものだった。余りの驚きにラウルはその場に固まってしまった。
「さっきのお返しだ」とレイムはその男を睨みつけた。
レイム…その目…。
ラウルが見たレイム目はある紋章が刻まれていた。
その紋章は七千年前のものだった。
ある時、6人の神々が4人と2人に分かれた。
その2人の神がその目的のために仲間の種族達とともに戦った…その時に独立神ということでその紋章を作ったと言われていた。
その戦いは歴史に刻まれ、古の大戦となった。
その大戦の最後は4人の神が魔王と2人の神を倒し世界は平和になったと伝われていた。
死んだ神の紋章が今目の前に現れラウルは絶句してしまった。
まさか復讐…なのか。
ラウルはそう悟った。
すると「我の真の力を見せてやろう」とレイムは両手を上に、いや天に向けた。
すると力という力がその手の上に集まってきた。その力は目で捉えることができるほどでレイムの周りを魂みたいにうようよと進んでいた。
「覚悟はよいか。魔王幹部のジン」
「ジン?あいつの名前か」
なんで知っている。ラウルはその男をみたらその男はすごく驚いていた。
「いや普通に驚いてる」
ラウルはつい声にしてしまった。
何故か…やはりと言った方が…。
だがやばいあの膨大な力をここで放たれたら…。ラウルは止めようと考えるがあの状態のレイムは止めることはできないと思いラウルはその場に立っていることしかできなかった。
あたりは力が集まって大風がおき、上を見ると雲は黒くなりレイムの上へと集まり雷が鳴り始め、黒い力が黒い雲に吸い寄せられていた。
ラウルも飛ばされそうになり剣を地に突き刺した。
「なんという強大な力なんだ…まさかここで真の力を見られるとは…」
全ての力がその手に集まり黒く光り出した。
レイムはその力を完全に手で操っていた。
そして…。
「すべての力を破壊の力に…破壊(ディスラクシェント)」
レイムはそう言い手を下へ振り下ろした。
全ての力は男に向けて放たれた。ズドーンともの凄い音とともに衝撃波が周りにいた者達に襲い掛かり純白の光を出していてその光景を見ることすらできなかった。
そして男は力と光に飲まれながら叫び声をあげて男は消滅していった。それは溶けていくかのようだった。
力が出した純白の光は天に届くくらいだった。
光と衝撃波が止みラウルは立ち上がり辺りを見渡すと目の前には大きなクレーターと力がまだ溢れていた。
これがすべての力を破壊の力へと変えていく力…。
ラウルの目の奥には少し恐怖の色があった。
神でも耐えられるかどうかわからない最強の一撃なのかもしれないとラウルは思い右手を握りしめ胸に当てた。
国の方を見ると入り口にそびえ立つあの高い門と国を囲んでいる壁は半壊していた。
そして再び力の跡を見ると普通の人間いや多種族も近寄れない危険な魔力をいや霊力を私は感じた。
魔王軍はいつの間にか消え騎士達は喜びの歓声をあげてた。
だがラウルはその跡から目を離さなかった。
すると突然ラウルは一点を睨むように見た。
そこには小さくなったレイムが倒れていた。
「レイムゥゥゥゥッ」ラウルは斜面を駆け下りレイムの元へ行くと膝をつき抱いた。
だがレイムは目を覚まさなかった。
死んだのか、いやこれは…はぁ、なんだ力の使い過ぎたのか。
その姿は少し幼い姿になっていた。
いやもう力はほとんど残っていない…あの紋章は消えていた。
ラウルは深いため息をついた。
すると「ラウル様ー。レイム様は大丈夫でしたか…」と言いながらロナはこっちへと走ってきた。
「あぁなんとか大丈夫そうだ。ロナ…レイムを任せる」と言いラウルは聖騎士とともに光の国へと向かっていった。
この件でウォーシンクの小さな町が3つほど消滅した。
その町の人々は一人も生存者が見つからなかった。
これにより人々と多の種族達に恐怖という呪いの傷跡を心に負った。
あの一撃は世界へと知れ渡り同時に破壊の神という存在が新たに世界に知れ渡った。
一人の幹部を失ったためまた大きな襲撃がこの世界のどこかで起こると神々達は思った。
そして神と魔王の遠い昔に止まっていた歯車が今この瞬間から時計のようにカチカチと回り出した。
神と魔王しか知らない過去
私しかわからない現在
神でもわからない未来…この世界が何でできたのか、なぜ神というものを作ったのか世界にはいろいろな疑問が漂っている。
自分は何者なのか。
世界はここだけではないのか。
なぜ永遠というのがあるのか。
なぜ私達は人間と似ているのか。
なぜ心というものが存在して気持ちというものがあるのか。
これは神がふと思ったことでもあった。
それは私の物語でもあり人生でもある。
「世界には純白の神様はいるのかなぁ」と私が7つの時に空を見上げながら言ったらしい。
第2話 誘いのバカ勇者
シズゼリア領域の周りには森が深く大抵の者はその森には立ち入ることはないが、今日は2人組の男女がその森を歩いていた。
「おい、ソピアなんでこんな所にちょっとわ、休もうぜ」俺達は深い森の中を歩いていた。
はぁ、はぁ、もう何日歩いてんだ。
突然の出来事で俺はまだ頭が追いついていないが…。
俺は息を切らし歩く足に体重をかけていた。
ただ妹について行ってるだけで俺には妹が何を企んでいるのかわからなかった。
俺はソージ・ソシアル。年齢15歳、見た目は凄くイケメンでもないし髪は黒で短い…平凡な男子。
前にいるのがソピア・ソシアル。俺の2つ下の妹。可愛くて街を歩けば人々から話しかけらるし髪は金髪で長く2つにしばり、しかも頭もいい完璧な妹だ。
さて話を戻そう。なぜ俺がこんな所にいるのか。
それは、数日前のことだった。
俺は光の国の名門の学院を卒業し2つ下の妹が学院を卒業するまでの2年間光の神の騎士として修業をしていた。
2年後、妹が学園を卒業した。
学院では何も目立たずに学校生活をおくっていたが、妹はいつも女子に囲まれていて男子からは告白なほぼ毎日されていたらしい。
俺は友達も少なかったが成績や剣術はトップに入っていたのが幸いだった。
だが妹は主席で卒業したので当然同級生や後輩からはチヤホヤされてて何時間もその卒業式場から出られなかった。
俺は大切な妹の卒業式だったが退屈な日だった。
くそぉぉぉっ…良い妹を持つと兄が苦しいぃぃぃっ…。俺は本音をどこかで叫びたかった。
そんな日の夜に妹は何の前触れもなく「ソー兄、いくよ」と言った。
「…え、どこに」と俺は即答したが、ソピアは俺の質問も聞かず…。
もう夜も遅く寝ようとした俺は妹に手を引っ張られ国を出て海を渡り日が差す頃にはこの森へと入っていた。いくら理由を聞いても「黙ってついてきて」と言うだけだった。
くそ最初妹のためならと思った自分を殴りたい。
男の俺だがもう無理に近い体力だった。
今までこんなことはなかったのに…。
まさか…人格が変わった…。
急に、これが本当の私だよ…とか…いやいや…。
俺の頭の中ではそんなことが暴れまわっていた。
すると「あれだよそー兄」とソピアが指を指し言った。
気づいたら俺達の目の前には大きな泉、いや湖があった。
その中心には島が浮かび高くそびえ立つ大きな城が見えた。
俺はその時、その城が何の城でここがどこなのかを…。
待て…周囲は黒く染まり、湖の中心に漆黒に染まる城…。
俺は目の前にあるのが本当なのかわからなくなり、ソピアに駆け寄った。
「おい妹よ。ここって…」俺は汗を垂らした。
あのとても高くそびえ立つあの黒い城。
明らかにここの空間だけ空気というか魔力が感じられた。
「そうだよここは…」ソピアは嬉しそうにあの城を見つめた。
お前…何でそんなに嬉しそうなんだよぉぉぉ~。
「ディスラクシェント大国」俺は自分の目を疑った。
「おい妹よわかっているのか。どの国の人間も種族もましてや神も近寄らない、世界で一番恐れられている国だぞ。無論俺ら光の国出身の人間なのに何でこんな所に…」俺は妹の前で泣いた。
これが初めてだ…。
誰だって気付いたら、あの国にいるんだもん…。
そして俺はそこに膝をつき呪文のようにこれから起こることを呟いた。
「あー俺らは光の国から追放…いや死刑もあり得る」…って言っても、自分はそれを知らずに来たんだからこれは俺の責任でもあるかも…。俺は少しこの状況を納得した。
「はぁー俺のバカバカ…ってちょっと何してんだよソピア」
俺があれこれ悩んでいる所で妹は湖に足をつけていた。
「おい、ソピア…まさかとは思うが…」とソージはこれからソピアがとる行動がわかってて問い掛けた。
「えっ泳いであの島までいくんだよ。まったくそれくらいわかるでしょそー兄」ソピアは当たり前なことを言っているがここの場所を知っている俺は何で!、が俺の最大の疑問だった。
「何言ってるんだ、この国は2つの種族に守られているんだぞ。それも種族の中でも上位のドラゴンとあと…」俺がもう一つの種族を言おうとしたその時だった。
俺と妹は空に何かの気配を感じ同時に上を見たそこには……。
「侵入者を確認排除します」
「あっあれは…」それは巨大なロボットだった。
まさに最強の神が創ったと言われている機械種族、見た目は俺ら人間と同じだけどそこにいたのは人型十体に対し司令塔となる一つの塔というものだった。
それは情報の伝達や攻撃と受けた攻撃への対策や不足の情報を埋め込むなどのことができ、人型と違い心をもっていなくすべて機械種族の中心にあるコンピューターと連結していて人型は塔と連結している。
しかも機械種族と出会ってしまったら相手は何でもありの種族だと言われている。
機械種族…即ち機人種は全属性を操れることができ、おまけに種族の中でもダントツで素早い…。
これは、もうお手上げだ…。
「まずいよりによって機械種族にあってしまうとはここは戦わす逃げ…」
俺はさっきまで湖に足をつけていたソピアがいないことに気付き再び上を見るとそこには剣を抜き塔に立ち向かうソピアがいた。
いやっ…早すぎるでしょ…。
どうなってるんだよ…主席卒業…。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」俺は今世紀最大の叫びをあげた。
「てぁっ」ソピアは両手で剣を握り大きく剣を振り下ろした。
そして一撃で塔を真っ二つに斬り、しかも相手が攻撃を認識する前に攻撃を繰り出した。
何で出会った瞬間から戦うとか、ないだろぉぉぉぉ。
俺は呆然とその光景を眺めていた。
まさか、機人種の攻撃の認識よりも早いとは…つくずく恐ろしい妹だ。
ソピアがよっと降りてきたあとガシャンと塔が落ちてきた。斬った部分はビリリと電気が発生している。
そしてソピアは俺の顔を見て笑いながら言った。
「どうしたのソー兄まだまだこれからだよ」とソピアは剣を鞘にしまい腰に手を当てた。
俺はそんなソピアにはついていけなかったが「あぁ、そうだな」とソピアについていくことにした。
そして俺とソピアは湖を城が建つ島の浜辺に着いた。
湖を泳ぐのは楽だがこれは無理と言ったほうがいい…。
見た感じ城に行く道というものはなくあるのは大きな絶壁だった。
「うっ…うっ…結構高いな」崖の上を見ると城が見えた。
その崖は人は登れるが50メートルくらいあるので登りきることは不可能だったが俺達は何とか半分まで 登ったがその時…。
「うーー腕が疲れた」と言った妹は俺より少し早くちょっと高い所にいた。
「おっおい。ちょちょっと」
妹は俺の高さまでわざわざ降りてきて俺の首に腕を巻いた。
何で、今なんだ…それよりも俺の腕がとれるぅぅぅっ…。
「いいじゃん」とソピアは俺に甘えた。
何で疲れる崖を登ろうとしたんだよ。そして俺と妹の体重が腕へとかかった。
「おっ重っ」やば、心の声が…。
確認するが、こう見えて女の子のソピアだ…。
ソージはすぐ後ろから凄い視線を受けた。
「何でもない…」と何とかごまかそうとしたが……まぁ、無理でしょう。
「うぅぅぅぅぅぅ」
ソピアは唸り出し、だんだんと俺の背中で暴れ始めた。
「わーーお前っ落ちたいのか!」妹は俺の背中で暴れた。
「私はこれでもダイエットしたのに~」ソピアは俺の後ろで泣き喚き暴れていた。
「俺は今お前をおぶって登ってるんだから動くなよっ!」俺の腕はだんだん消耗していった。
こうして俺は重い荷物を背負い崖を登った。
幸いに種族は現れなかった。
「はぁはぁ…はぁぁぁ……やっと着いた~」
俺は登ったすぐそこに倒れ込んだ。
息はとっくに切れていて腕は痛みがあった。
こんな体験…当たり前に…ない!…。
全ての元凶はすぐここにいるっ!
「お疲れさん。ソー兄」すると腕の痛みが引いていった。
腕を見るとソピアが俺の腕を握り回復の魔法を唱えていた。
こうゆうことは気が利くんだな…。
「ああ。結構きつかったな。おっ、うわぁぁぁぁっ!」
俺は起き上がり目の前にある城を見上げた。
この国で一番高い位置にある城でこの国のシンボルとも呼ばれていて近くで見た光景はとてもこの国の城とは思えなかった。
そんな俺がその光景に釘付けされているかな。
「あれ、あそこに誰かがいる」とソピアは指をさした。
俺は妹が指さす方を見てみると少し登った所の崖に座っている子供がいた。
本当だ…崖に腰を下ろしている…。
「あの子がそうだよ」
ソピアは目を輝かせ俺の服を引っ張った。
「え…」
あの子…知り合いか…。と俺は思った。
俺は誰かわからなかった。俺達は少し登りあの子の所に行った。
その子がだんだん近くなっていき俺は本当に人間なのか心配になった。
ん、女の子か…。見た感じ足短いし、フード被ってるからわからないな~。
「ソー兄、何、じっくり見てんの」と俺の耳元でソピアが囁いた。
「いっいや、女の子かなって」
「うん。女の子だけど妹の前で別の女をじっくり見るって私は許せない」とソピアは腰に手を当てた。
それはつまり…。「やきもち…」俺はソピアにはっきりと今の状況を言った。
「ちっ、違うもん。何で私がやきもちを焼かなくちゃいけないの。別にそんなことないっ!」
妹は完全にやきもちをやき、大声で泣きながら怒った。
別にそんなことで怒ることないだろう。
俺は一番の疲れは妹だと改めて思った。
その時…「誰…」と少女の声が聞こえた…。
まずいっ…ソピアの声が……。
数分前のこと…。
私は目が覚めると私は自分の部屋のベットにいた。
「んっ…ここは…」私はゆっくりと起き、周りを見渡した。
「あっ気が付きましたか、レイム様」目の前にはロナがいた。
「うっ頭が重い…」その時私は寝る前のことを思い出した。
私はベットから出て部屋にある大きい鏡の前に立ち、自分を見た途端目を疑った。
「えっ…なにこれ」鏡で見た自分は…年齢より半分の歳の姿だった。
こんな姿って…。
そういえば、立った時目線が低いと思ったら…。
「これは体を保つ霊力がなくなり体が未熟になったのです」とロナは教えてくれた。
「そうなの~」
私はこの状況が初めてだったが今の私にはどうでもよかった。
あと気づいたことは…。
「私、あの男に体を斬られた時から記憶がないんだよね」
「えっとそれは…頭ぶつけたからかな」ロナは冷や汗をかきながらレイムのこときずかった。
それは、再びあの力に目覚めるかもしれないと恐れたからだ。
あの攻撃をして倒れたレイムをここに連れてきたのはロナだった。
「んーまいーや、私、外行ってくるね」
「はい…行ってらっしゃいませ」とロナは手を振った。
まあ魔王軍を倒せたのだからいいか。
レイムはあいまいな気持ちで外に向かった。
私は自分の部屋の扉を開けて、長く薄暗い廊下を歩いていきホールへと出た。
そこは天井に窓があり床に光が差し込んでいた。
そして大きい扉を開け、私は城の外を出て少し歩いた所の崖に腰を下ろした。
いつもここで考え事をしているが…変わらない風景にレイムはつまらなかった。
「ここは…景色はいつ見ても奇麗だな…」と心のこもっていない言葉を呟き、まだ精神が定着していなかった。
私はいつも見ている景色に黄昏ていると少女の声が聞こえた。
「誰…」私は反射的に声を出した。
声が聞こえた方向を向くとそこには少年と少女がいた。
なっ…何でここに人間がいるの…。
いやいや…まさかっ……。
私はここに人間がいることに理解ができなかった。
「お前達は誰、何でこんな所に…ってか人間が入ってくることなんかできるはずはないのに」
私は恐る恐るその人間達に話かけた。
すると「いや一回だけ見つかったんですよ」ソピアは普通に答えた。
一回見つかった?
「なのに何でお前達はここに」その声は震えていた。
我が種族に見つかったら、まず生存は不可能なはずなのに
怯えているのか、あの子…。
ソージは怯えて話すレイムを心配していた。
「ソピア、あの子怯えているんだけど」と何をしていいのかわからず、ソピアに話した。
「ソー兄へたっぴ…」と言い、ソピアはレイムの質問に答えた。
そう…彼らが何故この地に来たのか…それは……。
「5代目破壊の神レイム様を我がパーティのお誘いに来ました」とソピアはそうはっきりと言い、二人の耳にもそう聞こえた。
「え…」
「え…」
俺とレイムは完全真面目で言ったソピアの言葉に固まった。
なっ何を言っているのこの人…。
こんな所まで来て私をお誘いってバカげてる。
その前に何で私を…。
「何を言っている私がそんなパーティに入るとでも…悪いけど町のギルドにあたってくれ」
私は即、お断りをした。
「そうだよ妹よ。諦めて帰ろうよ」とソージはソピアにそう言ったが、ソピアは聞かなかった。
てか神様に合うこと自体許されることじゃないし俺達は光の神様にも一度もあってないからね。
「いや私はあなたを選んだのです」とソピアはプロポーズのような感じで言った。
「あっありがとう」私はそれしか返す言葉が見つからなかった。
今日はやっぱり疲れがとれていないのかな~…。
レイムは最終的にその考えになった。
「どういたしまして」なんかテンション低いな。女子同士の会話なのに…ってこんな状態でこんなことか…。
俺はこの状況をどうすれば…。
「あなたは神様ですよね」ソピアよなんて当たり前な質問をするんだ。
だけどようだよなソピアは勉強面ではいい子だけど他はバカとしか言いようがないバカなのです。
なんて中身なんだろうなぁ…。
こんな妹だと兄の俺の身にもなってよねぇ…。
だけど…あっちもバカだった。
そうソピアと同じ頭の中がお花畑だろう……。
「そう私は神々の中でも最強の神、5代目破壊の神レイムだ!」レイムは立ち上がり左手を腰にあて決め台詞を言った。
ほらね…やっぱり……。
その姿を見た俺と妹は同じことを思った。
ちっ小っちゃくね。
「あの~えーとなんていうか…」俺は言おうかどうか迷った。
いくら何でも小っちゃすぎる…。
するともう一人のバカが「ちっ小っちゃいですね」とはっきりと突き付けた。
その言葉がレイムの胸に大きく突き刺さった。
「ん…んんんんんんん」それは今言ってはいけないことなのに~。
レイムは一回きょとんとし怒ってなぜか俺の近くに来て自分より大きい俺をジャンプで同じ高さまで上がった瞬間、俺の顔を殴った。
ぐはっ…いてて、顔面はないんじゃあないかな。
「それはわかっている。これはある事情があるから触れないでね」私は赤くした顔を抑えながら言った。
神と言うのは…何も考えない、人の姿をしているのかと思ったが…その姿は人の形をしているが本当に生きて普通だった。
これが神々の中で最強の神と呼ばれ、そして破壊の神5代目の…。
「まあいい、私はお前たちのことも知りたいから我の城に来い…まずその体の汚れを落とすから風呂にでも入るか」俺達は破壊の神の城へと入った。
扉の感じは長年の月日が経ち、8000年も前に建てられた城…。
噂では大きな城だが、中は内部を知っている者しか上には上がれない…。
各階層には破壊神に仕える加護を受けた守護神達が待ち受けている…。
「おー凄いな。本がいっぱいある。それにこの絵はレイム様ですか」
城に入ると円状になっているホールの壁は本棚で覆われて奥には二つの道とその間に大きな絵があった。
この本たちは何も書かれていないただの紙切れだ…。
インテリアとしてはいいがな…。
そしてこの絵だが、第四神暦に入って書かれたものだ…。
誰が見てもレイムだと思うが実は違う…。
「あーこれは私ではなくてこれは3代目破壊の神で名前も私と同じで昔、光の神と破壊の神は対立していた2つをくっつけ魔王軍を倒した人なんだよ」
この人は私にとって目指す人でもあった。
歴代の破壊の神では最強される強さを持っている…。
「あー歴史で習ったな~確かそれは3000年前の大戦だよね。それでその人はどうなったの学院では習わなかったんだけど…」俺はレイムにはどうでもいいことを話した。
まぁ、当たり前に習うことだが、この時は世界が半分破壊された…。
するとレイムは悲しい表情をし「えーとその人は死んだらしい」と下を向いて言った。
俺はその表情で察した。
大戦の終焉は3代目破壊の神の死によってのことだ…。
「えっ何で…」ソピアはレイムに近づきそう言った。
「わからない。私もその時は生まれてないし、お母さんも教えてくれなくて…」と寂しげにそう言った。
いいや…本当のことを言うと、その真実は神は3代目の他はいなく…知っている者はあの時レイムのそばにいた…者だけだ…。
「え…」俺とソピアはシンクロした。
すると「神って親いたんだ」俺はそう呟いたその時レイムは俺に駆け寄り頭をジャンプして殴った。
うっ…また…。
飛び上がる高さが比じゃないぞ…。
「ふん」レイムは腰に手を当て顔を振った。
「親くらいいる。そんなこといいから早くいくぞ」とレイムは奥へ進んで行った。
まったく…何も知らないからと言って…そんな失礼なこと…。
人間ていうのはこうゆう人達だけなのか…。
ってか俺…。
いやソピアより下だよな年齢と俺は今それを気にした。
そういえば…神って歳をとるのか…。
神と言う存在は世界を見据えること…神という存在は歳という概念存在しないのか……。
多分、歳を聞いたら女性に歳を聞くなんてとか言い出しそうだからなぁ。
俺は頭の中で疑問に思ったことを一度確認してから言うと決めた。
まさか…こんな人と…。
そして俺らはレイムについていき暗い廊下を歩いてバスルームらしき扉を開けた。
扉は洋風な感じで開けて入るとそこは普通の脱衣所でいい匂いがした。
だが、他と何か違う空間の感じがいた。
「ほらっ脱いでください…」と俺とソピアはレイムに言われるがまま服を脱ぎ奥への扉を開けた。
そこはまるで本当に別の空間にいる風景だった。
床は水色で壁にはドラゴンの頭がありその口からお湯を吹き出してあり真ん中には大きいお風呂があった。
「すっすごい」俺は絶句してしまった。
「わーすごいこんなお風呂見たことないよ」とソピアは隅々まで見渡した。
「ここは、第十階層のお風呂…ここも一様敵が来たら戦場となるがここまで攻めてきた者はいないよ…ってか、入りすらしなかったけど……」
ここまで、この城に攻めた者達は一人の守護神によって、全ての侵入者を殺していった。
俺達はこのお風呂を遠慮なく楽しんだ。周りは湯気で少し見えにくく魔力が湧き出ているかのようだった。そしてレイムと俺達は円状のお風呂に浸かった。
「はぁ…」俺は湯に浸かり天井を見上げるとこの国の歴史の絵があった。
「わぁ…すごい…」とソピアも俺のマネをし天井を見上げた。
これは6人の神を模した絵…世界を創造した光景が描かれていた。
だが、こんな新しい大剣だったが、ソピアが目的を話した。
すると「あーそうだ、パーティーの誘いなのだが…」とレイムは手を叩き満面の笑顔で言った。
俺には何か企んでいるようにしか見えなかった。
どっどうなるんだ…。
俺の心臓の鼓動が早まり、ザァーという水の音だけが響き渡った。
てか何で俺3つ下の妹と神様だけど絶対に年下の女の子とお風呂に入ってるんだ。
俺はやばいことに今気づいた。
さっきまで緊張感だったソージの頭の中はそのことでいっぱいになった。
まずそれ自体おかしいはず、と俺は考えたがまた気付いた。
あ・・・そっか二人ともバカだからかと俺はそう思いレイムの方を見た…その姿はやっぱりこの世の物ではなかった。胸以外は…。
また俺の頭の中はそれで埋めつくされた。俺は…この二人に流され一緒にお風呂に入ってしまったのか。
「に……にぃ…ソー兄」
「あっ…」俺はソピアの声で今どうゆう状況なのか思い出した。
「もうちゃんとしてよ今大事な返事を聞こうとしてるんだから」とソピアは頬を膨らませた。
俺はレイムの目線に気付き咄嗟にレイムの方を見ると、強い目線を浴びた。
そしてレイムはゆっくりと上を向いた。今聞こえるのはザァーという流れる音、黒く長い髪が水面に浮かんだ。
そしてレイムはゆっくり口を動かした。
「私と戦いって、もし生き残れたら君達のパーティーに入ってあげます」と満面の笑みでそう言った。
「え……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」俺は理解ができず絶叫した。
だがソピアはザァと音を立て立ち上がり「受けて立ちます」と拳を作り前に出した。
「なんでやねん」と俺は反射的にツッコミを入れた。
今の俺にはそれしか言うことがなかった。
俺達は神にいや神々の中でも最強と言われる破壊の神と戦い生き残れるのか…。
完全に立場が逆転した…俺は上を見上げそう思った。
破壊の神は歴代全てではないが、レイムは好戦的だった…。
それは、何でも戦いで決める…ということだ。
そして俺達は知るのであった。
最強の神、破壊神の強さを……。
世界最強ギルド『無限の星』 ~うちのギルド長が本気を出せば世界なんて簡単に滅ぼせます!~