きっと、夜が明けるまで [現代編]

VG&FN

  1.  
  2. 彼女と出会った、最初の夜——
  3. 11/30 更新
  4. 12/1 更新
  5. 登場人物
  6. 用語など

【まえがきは必ずお読みください】



【12/1更新(本文)】【未完】【★更新中】



ファンタジーです
あらすじ: どこかの世界に、夜の明けない街があった。そこに住む一人の少女はアバンダンドと呼ばれる、夜から生まれた魔物を狩って生計を立てていた。そんな日常のとある日に、少女は、もう一人の不思議な少女と出会うことになる。光の力を操る少女と、闇の力を持つもう一人の少女——彼女たちはどう繋がって、どう関わり合っていくのか……



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彼女と出会った、最初の夜——

 ウィザウト・サン——それが私たちの住む街の名前だ。
 名前の通り、太陽の昇らぬ常闇の街で、人々は夜に起き、街の明かりは常に点々と灯り、また夜に就寝する。
 そんな街で起こった、私たちの物語を、これから語ろうと思う。



 それは、私が、一人の少女と出会ったことから始まった物語——。



 私は街の郊外の森を駆けていた。
 明かりは、腰のランタンだけ。だが、いつも駆け慣れているその道は、暗くても視界が遮られることはなかった。
 追っているのは、黒い魔物。夜闇に紛れて活動するそれは、この世界の人々からは、アバンダンドと呼ばれていた。
 私は走っている最中、視界に動くものを捉える。アバンダンドだ。狼の姿をしたそのアバンダンドは、私の左右に数匹走っている。
 右のアバンダンドが止まる。それに従って私も停止する。今が攻撃の好機、と思いきや、そのアバンダンドが私に向かって飛びかかってきた。
 私はすっとその飛びかかりを避ける。同時に、アバンダンドを目で追う。
 すとん、と向こうに着地したアバンダンドが見せた隙を、私は逃さなかった。
 まだこちらを振り返らぬ背中に向かって走った。その最中、両手を天に掲げた。そして力を込める。
「これを……くらえっ!」
 次の瞬間、私の手元に、一筋の光が走った。そして手には、一本の黄金の剣が握られていた。
 それを、ちょうど今振り向いた狼に叩きつける。頭蓋の真上から剣が振り下ろされた。ぎゃん、と狼が悲痛の叫びを上げた。頭が一刀両断されて、そのアバンダンドは消滅した。
 剣を振って、刃についた闇を振り払うと、私は周囲を見渡した。周囲には、数匹のアバンダンドがいる。
 そのうちの一匹に向かって、私は再び駆け出した。
「逃げるなよ……」
 狼は警戒しながら私を見ている。私はどんどん狼に近づいていく。狼は、逃げないようだ、どうやら私を迎え撃つらしい。狼も、私に向かって駆け出した。
 剣を頭の横に構える。狼と私が衝突する瞬間、剣を薙いだ。
 先ほど同じく、悲痛の叫びを上げて狼が吹っ飛んだ。対する私は、無傷ではなかったが、なんとか無事だ。吹っ飛んだアバンダンドがどうなったか確認すると、もう既に消滅していた。
 周りをもう一度見渡す。残りはあと少しだ。私はそのアバンダンドの駆除を急いだ。



 剣が、狼の腹に突き刺さる。があ、と一声上げ、最後のアバンダンドは絶命した。
 剣を振り払う。そして辺りを確認した。アバンダンドは、もういない。どうやらここらへんの駆除は終わったようだ。
「ふう……これで、依頼達成、と」
 私は剣を消して、懐から紙を取り出す。白い紙には、アバンダンドの駆除、求む!の文字がでかでかと書かれていた。
「もう他にも依頼はないな……さて、帰るとするか」
 この森には、アバンダンドの討伐依頼のために来ただけだ。それ以外に用事はなかった。
 長いは無用、と思って、私たちの街——ウィザウト・サンの方向へ身体を向けた……
「……ひぃ……化けモノ……!!」
 その時、ちょうど私の反対側のほうからそんな声がして、私は振り返る。今確かに、男の人の声がしたよな……? 人が、アバンダンドにでも襲われているのか……? だとしたら急がなければ!
「どこ! 今行きます!」
 私は叫んで、声のしたほうに向かって走り出した。
 森の木立をの間を駆け抜けていく。月夜に照らされて、少し先の、木々が開けているところに、腰を抜かした——声からすれば男性の——人がいるのが見える。そして、その更に奥には、暗くてよく見えないが、黒い人影のようなものが見えた。
「やっぱり、襲われていたか……大丈夫ですか!?」
 私は腰を抜かして倒れている男性に近づく。
「ああ……私は大丈夫だ……だが、あれが……」
 すると、もう一人の人影がいたほうから、大きな音がした。
「……これ以上、やらせない!」
 人影——声からして女性のようだが、その人物が自分の得物を振り回したようだ。そのモノの持っている剣は、暗黒のような暗い色をして、鈍く光っていた。
(あれは……闇の力……?)
 私の持っている光の魔力と相対する力。その力を持っているモノの多くは人と敵対すると言われているが、その人物は、人の敵となる人型のアバンダンドを狩っていた。どうやら今のところは味方と見ていいようだ。
(そうだ……加勢しなきゃ)
 その女性が闇の力を持っているとはいえ、普通の人間を助けているのであれば、私も加勢しなければならない。私は手に光の剣を呼び出し、彼女の隣に走った。
「そこの剣士! 加勢します!」
 彼女の隣に立って光の剣を構える。彼女は、ちらりと横を見たあと、私と同じように暗黒剣を構えた。
「助太刀、ありがとうございます! あのアバンダンドを……全て、残らず、倒してください!」
 叫んだ時は分からなかったが、彼女はとても優しげな声をしていた。
「分かりました!」
 私はその声と同時に走り出していた。人型のアバンダンドを相手にするのは久しぶりだ。なぜかというと、個体数はそれほど少なくはないのだが、人前に姿を現すことは少ないからである。街に貼り出される依頼も、滅多にない。
 しかし、貼り出される依頼が少ないのは、とあるもう一つの理由も関係している。それは、その人型アバンダンドは、元は人間であったという噂が、まことしやかに広まっているからである。もう元の人格もなく、夜の魔力で堕ちてしまった存在ではあるが、元は同じ人間であったモノを狩るという依頼を出すことは、人として憚られるのだろう。
 だが、襲われている今は例外だ。襲われたのなら、そこいらにいる野盗などと同じ存在で、裁かれるべき存在となる。だから私たちも躊躇なく戦える。
 ここにいる人型アバンダンドは、魔法使いと戦士が混合したもののようだった。私は、魔法使いアバンダンドの暗黒魔法を避けつつ、戦士アバンダンドに斬りかかった。
 一度は躱されるが、追撃し、一体を撃破、その後二体目のもとへ向かい、刃を向けた。
『あの女の味方か。やれ!』
 リーダー格のアバンダンドが、他の個体に指示を出す。戦士アバンダンドが持っていた剣を振り上げて、呼応した。
(さあ、どう来る?)
 戦士アバンダンド二体とその後ろに魔法使いアバンダンド一体がいる。戦士アバンダンドの壁を乗り越えなければ、勝利はないだろう。
『沈め、人間!』
 一体の戦士アバンダンドが私に武器を振り下ろしてきた。私はその攻撃を、剣の腹で受け止める。
 戦士アバンダンドと鍔迫り合いになり、私は押し込んで相手の態勢を崩させる。そして首元に剣を薙いで、二体目を撃破した。

11/30 更新

『しぶとい奴め……』
 リーダー格のアバンダンドが、魔法使いアバンダンドの後ろで舌を鳴らしたのが聞こえた。
 私の側にいたもう一匹の戦士アバンダンドは、仲間が倒されたことに動揺し、攻めあぐねている。その隙に私はそいつをさっさと倒してしまった。
「いい調子!」
 私はそのまま、奥の魔法使いアバンダンドに向かって剣を構えた。
『ひぃ……こいつら、やり手ですよ。どうしましょう、リーダー』
 魔法使いアバンダンドが青ざめた顔で後ろのリーダー格に指示を仰ぐ。
『致し方ない。ここは引き下がる。いくぞ』
 リーダー格のアバンダンドは手を上げて撤退の指示を出す。それに応じて、他のアバンダンドたちは各々の武器をしまい、後退の準備をし始めた。
『……そこの人間、いや、闇の戦士よ』
 リーダー格のアバンダンドは引き下がる直前に、ふっと後ろを振り向いて声を上げた。
『同胞に手を上げたことを後悔するんだな。ここでの借りは、いずれ返させてもらおう』
「……私は、お前たちの同胞じゃない」
 どうやら、もう一人の少女に向かって声をかけたようだ。少女は毅然とした態度で拒否した。
『闇の戦士である以上、お前はこちらの人間だ。定めから逃れることはできない』
 そう言い残して、アバンダンドたちは闇に消えていった。



「ふぅ……なんとか、無事」
 私は剣をしまい、まずその場で一息ついた。
「あっ……あの人……」
 そして、思い出したように後ろの商人の男性のもとへと駆け出した。
「大丈夫ですか? 怪我はない?」
 「ああ……」男性は、こちらを見ようともせずにそうとだけ答えた。その視線は、もう一人の少女のもとへと注がれている。
「……化けモノ……化けモノ……!」
 男性は恐怖の表情のまま、そう叫びつつけている。
「大丈夫ですか? 落ち着いて。もうアバンダンドはいませんよ」
「……い、いや。違う。俺は……」
 男性の視線は、なおも少女に注がれている。
「……そこのあんた」
 男性は少女に声をかけた。
「助けてくれたことには……感謝する。だが、俺が見たのは……あんたは……あんたは……」
「……」
 少女は向こうを向いたまま、振り向かない。
 対して男性は、青ざめた顔をぶるぶると震わせて、そのまま何の言葉も掛けぬまま、荷物を持って、走り去って行ってしまった。
(……?)
 私は、その男性の反応に違和感を覚えた。いくら闇の力を持っているとはいえ、同じ人間なのに……。そしてそのうえ自分を助けてくれたのに、何か恐ろしげなモノを見たかのような表情に、私は不思議に思った。
 男性のようにそのまま去るわけにもいかないので、私はもう一人の少女にも声を掛けてみることにした。
「……あの。お怪我、ありませんか?」
 一見した感じ、かなり手練れの戦士のようだったので、怪我はしていないとは思うが、一応聞いてみる。
「……ああ、私は、大丈夫です。それより、貴女は?」
「私は少し……でもさっきの戦いで負った怪我ではないです」
「そう……よかった」
 彼女が振り向いた。夜月に照らされて、彼女の顔が露わになった。黒髪のボブカット、青くて大きな瞳、真っ白な肌。可憐な少女だった。とても闇の力を操っているようには見えない。
「あら……ブロンドの髪の、可愛らしいお嬢さん」
 彼女はにっこりと微笑んだ。私も笑った。
「今から、ウィザウト・サンに帰るんですけど、あなたもどうですか? 行き先、違うかな?」
 私は少女に話しかける。
「私も、アバンダンドの駆除を終えて、街に帰るところだったんです。……その道中、先ほどの男性に出くわして……」
「あ……私とほとんど一緒だ」
 私は苦笑する。
「それじゃ、一緒に帰りましょうか。いくら戦う力を持っているとはいえ、一人での森の道は危ないですし」
「……そうですね。それでは、行きましょう」
 私と少女は、共に連れ立って歩き出した。

12/1 更新

 森から歩いてしばらくののち。少しずつ木々が開けていって、最後には完全に平野になり、徐々に向かう先には、街の明かりが見えてきた。
「もう少しですね。はぁ〜、やっと家だぁ」
「ふふ……」
 私は背伸びをしながら、今日一日の疲れを実感する。
 ウィザウト・サンは大きな街だ。外周は数キロメートルにもおよぶ。街の入り口へも、それなりの距離があった。
 私たちはゆっくりと、しかし確実に、歩を進めていく。少しずつ、街の入り口に近づいていく。
「よし、入り口。あとは酒場に寄った後に、帰るだけ」
 そして、私たちは、ようやくウィザウト・サンにたどり着いた。
「リューカさんも、アバンダンドの討伐依頼を受けていたんですよね? じゃあ、酒場までも同行しましょうか?」
 私は気軽に、もう一人の少女——リューカの名前を呼ぶ。
 街に来る道中、私は彼女と様々な話題を話した。ウィザウト・サンに住んでいるのかとか、私と真逆の力を持っているんですね、私と同じ生まれつきなんですかとか、ウィザウト・サンの、美味しいケーキ屋さんは知っているかとか。ほとんど知らない、秘密などと彼女は話していたが、名前だけは教えてくれた。リューカさん、という名前らしい。
「そうですね。お願いします」
 彼女は微笑んで答えた。
 私たちは酒場へと向かう。宿屋の横を抜け、街の商業区を抜け、街一番の中央広場にたどり着いた。
「えーっと……酒場は、こっちだな」
 酒場に面する通りに出ようとした時、ふと私は、壁に貼っていた貼り紙に目がいった。
 貼り紙には、『街一番の強者よ、集え! バトルトーナメント開催!』の文字が書かれていた。
「そっか……今年も、大会の時期が近づいてきたか」
 ウィザウト・サンでは年に数回、トーナメント方式の模擬戦闘大会が開かれる。一位になったら賞金として、50万ぺリル(¥で50万円)は出る、かなり大掛かりな大会だ。私は毎回参加しているが、いつも三位止まりで終わっている。いつか一位を取りたいと、熱い野望を燃やしていた。
「リューカさんも、参加するんですか? 模擬戦闘大会?」
 

登場人物

ミューネ - 本作の主人公で女性。[現代編]では18歳。金髪のボブカットをしている。リューカからはミュネと呼ばれている

リューカ - 本作の第2の主人公で女性。[現代編]では18歳。黒髪のボブカットをしている。素性に何らかの秘密がある。ミューネからはリュカと呼ばれている

ROTS(ロッツ)の人間 - 12人いるロッツのROTS(ロッツ)の構成員。それぞれに個性がある

用語など

闇の氾濫 - 13年前に起こった闇の氾濫。その日をさかいに、世界は夜に包まれた

光の氾濫 - 闇の氾濫の対義として、光の氾濫がある。何らかの理由に、光の魔力が世界に満ち溢れる現象

ROTS(ロッツ) - 夜の世界で、太陽を求める有志から成り立った新興組織。主にアバンダンドの駆除や、闇の氾濫の解決法の探求、世界に光を呼び込むなどの活動をしている。メンバーは真白いローブを纏うのが特徴

世界の次元 - 世界には四つの次元があるとされる。太古、過去、現代、そして未来だ。世界の何処かに、次元の狭間へと繋がる穴があり、そこから数多くの存在が移動を繰り返しているという

きっと、夜が明けるまで [現代編]

【12/1更新(本文)】【未完】【★更新中】



ファンタジーです
あらすじ: どこかの世界に、夜の明けない街があった。そこに住む一人の少女はアバンダンドと呼ばれる、夜から生まれた魔物を狩って生計を立てていた。そんな日常のとある日に、少女は、もう一人の不思議な少女と出会うことになる。光の力を操る少女と、闇の力を持つもう一人の少女——彼女たちはどう繋がって、どう関わり合っていくのか……



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(下から読んでいる方もこんにちは!)

きっと、夜が明けるまで [現代編]

【12/1更新(本文)】【未完】【★更新中】ファンタジーです あらすじ: どこかの世界に、夜の明けない街があった。そこに住む一人の少女はアバンダンドと呼ばれる、夜から生まれた魔物を狩って生計を立てていた。そんな日常のとある日に、少女は、もう一人の不思議な少女と出会うことになる。光の力を操る少女と、闇の力を持つもう一人の少女——彼女たちはどう繋がって、どう関わり合っていくのか……

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2019-11-27

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