三題噺「コーヒー」「弁当」「屋上」

 会社の昼休み、いつも私は屋上で弁当代わりにお汁粉を飲む。
 ほどよい甘さが丁度良くてとても美味しい。

 そして、近頃は仲間が増えた。
「お前、今日もコーヒーか?」
「まあな。私はコーヒーが好きなんだ。」
「よく飽きないな。」
「飽きるものか! 私はコーヒーを愛しているからな!」
「……そうか。」
 つまりはそういうことか。
 私は幸せそうにコーヒーを飲む彼をしばらく見ていた。

「それじゃあ、お先。」
「おう! またな。」
 来月もコーヒーを飲めていると良いな。
 その言葉を口には出さず、私は会社へと戻った。


 1ヵ月後。
 あるコーヒー製造会社が吸収合併され、紅茶製造会社になった。
 彼のコーヒーは紅茶に変わった。

 明日は我が身か。
 その日のお汁粉は少ししょっぱく感じた。

三題噺「コーヒー」「弁当」「屋上」

三題噺「コーヒー」「弁当」「屋上」

会社の昼休み、いつも私は屋上で弁当代わりにお汁粉を飲む。 ほどよい甘さが丁度良くてとても美味しい。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-03-27

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