三題噺「コーヒー」「弁当」「屋上」
会社の昼休み、いつも私は屋上で弁当代わりにお汁粉を飲む。
ほどよい甘さが丁度良くてとても美味しい。
そして、近頃は仲間が増えた。
「お前、今日もコーヒーか?」
「まあな。私はコーヒーが好きなんだ。」
「よく飽きないな。」
「飽きるものか! 私はコーヒーを愛しているからな!」
「……そうか。」
つまりはそういうことか。
私は幸せそうにコーヒーを飲む彼をしばらく見ていた。
「それじゃあ、お先。」
「おう! またな。」
来月もコーヒーを飲めていると良いな。
その言葉を口には出さず、私は会社へと戻った。
1ヵ月後。
あるコーヒー製造会社が吸収合併され、紅茶製造会社になった。
彼のコーヒーは紅茶に変わった。
明日は我が身か。
その日のお汁粉は少ししょっぱく感じた。
三題噺「コーヒー」「弁当」「屋上」