重なり合う私

早熟する時の中を人魚と共に泳いでいた私
空に飛んで行く孤独な風船を星に見立てていた私
苦しみに苛まれて、流血の痛みを私に訴えた私
意識が引き剥がされつつある私を止めようとした私
私に宛てられた手紙を読んだ私の、喜ぶ姿を撮る私
幼子の私の記憶装置となりし私へ、祈りを捧げる未来の私
私が、拠り所としていた私の、全てを持っていた私の憧れの
浮世の夢路(ゆめじ)を超越した私の、私を信ずる私が描いた
あの日の私が私を見付けて詠嘆(えいたん)する、私に涙を重ねる今日
私が偏在する